「サンダユウー、指切ったから絆創膏…」
「あれ?」
「サンダユウ?」
「サンダユウー?」
「…」
俺の手を握る冷たい感触。なまえの手だ。冷え症なのかいつもひんやりと冷たい。
「あ…」
目を開ければ天井。自分が寝ているのはいつものソファ。
横にいたなまえは目を覚ました俺を見るなり、ぼろぼろと涙を溢し始めた。女の子が泣くタイミングはよく分からない。ただ、なまえが泣くのは大抵寂しいときか、不安でどうしようも無いときだ。とても分かりやすいので、理由は聞かなくても解る。が、どうしたと聞くようにゆっくり頭を撫でた。
「サンダユウ…」
「ん…?」
「なんで急にぶっ倒れてんだよ馬鹿!」
荒々しくなった口調で馬鹿やらなんやら、思い付く限りの悪口を言いまくられた。それでも声は弱々し過ぎて、悪口を言われてる気分にはならなかった。
「ごめんな」
俺が倒れて、一人で、どうしたらいいか分からなくて、不安で不安でしょうがなかったんだよな。
「………。」
「うおっ」
いきなり無言で抱き付かれて、心臓がドキリと跳ねた。甘やかしはするが、滅多に甘えて来ることなんてない。やばい、可愛い。可愛すぎる。
…ただちょっと不服なのは、俺の方が押し倒されてる体勢なことぐらいだ。
「サンダユウ…サンダユウっ…」
俺の肩口に顔を埋めてひたすら泣き続けた。
「大丈夫、大丈夫。ここにいるから…」
「で、なんで倒れたの?」
「なまえが指切ったって言ったから…」
「…それだけ?」
「なんだよそれだけって」
「心配した私が馬鹿だった…」
―――
まえ|つぎ