戦闘の戦略を考えろって?無理な話ですよ先生。まぁみんなの前で発表するエスカ・バメルは相当楽しいみたいですが。優越感に浸ってとてもにやにやしている。私はこの授業とても眠い。こんなことやって何が楽しいのか、理解に苦しむよ。
エスカの発表が終わった後、はち切れんばかりの拍手が送られるが、私は絶対に手を叩かない。叩くとすぐ調子に乗るんだあいつ。

「よぉ、聞いたかよ俺の戦略」

隣の席に帰ってきたエスカ。どこか満足げな顔をしている。

「はいはい聞いたよ。ワンダフルだねエスカ」
「馬鹿にしてんのか」
「褒めてる」

さらりとエスカの言葉を流し、時計に目をやった。よし、この授業が終わるまであと三十秒。
提出用の紙には『バダップぐらい強いやつが単騎で突っ込む』と書いておいた。たぶん間違いじゃないよ。





なまえの親友、俺エスカ・バメル。通称エスカバ。ただなまえはエスカと呼んでくる。四文字より三文字のほうが短くていいらしい。
親友と言うだけあって、男女の仲としてはスキンシップは割と激しい方だ。

「エスカ、腕相撲やろうよー」
「おぉ」

まぁこんな感じだ。
なまえは力に関しては男にだってまだまだ引けを取らない。椅子に座ってなまえの手を握った瞬間、

「………?」

ぞくりと背後からの痛いほどの殺気。
後ろを振り向いても誰もいない。しかし気配はサンダユウだ。どうせなまえが心配で見に来たのだろうが、過保護過ぎるんだよあの老け顔。

「おーいエスカ、始めちゃうよ」

この鈍感な馬鹿はサンダユウの気配に全く気付いていないらしい。
なんか若干息の荒い音が聞こえるのは気のせいだろうか。

「エスカー?」
「………。」





(あのエスカバカなまえの手を握っていいと思ってんのか…あぁでもなまえが楽しそうだし。ほんとなまえ可愛い。)

―――

まえつぎ




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