「こんにちはデスブレイクです」
「………。」
すみません、このパターンどこかで見たことがあるのですが。ずらりと並んだ大の男三人を見て思った。それから必殺技の名前で自己紹介するのはそろそろ止めた方がいい。聞いてるこっちが恥ずかしい。
「ほら、こどもー。バダップさん達遊びに来てくれたよー」
だいぶ歩けるようになったこどもの手を引いてなまえが顔を出した。そういえばこどもが初めて歩いた日も泣いて、それをばれないようにしていたのだがなまえには「泣いたでしょ」とすぐに気付かれた。周りの空気で分かるよ、と言われた。湿っていたりするのだろうか。
そんなことより。
「なんでこいつらがここに?」
俺の足元にたどり着き、だっこをせがんでくるこどもを抱き上げた。こどもちゃーんとおじさん三人が群がってくる。
「みんな暇だって言うから呼んじゃった」
「その夏休みみたいな思考回路なんとかしろよ」
「はいはい」
「あはは、なんか幼稚園みたい」
なまえが遊び疲れたデスブレイクとこども、四人で昼寝をしている様子を見て言った。黄色い陽射しが足元を照らしていてなんとも暖かそうだ。かかっているブランケットからは柔軟剤の香りがして心地好い。少しだけ開いた窓から風が吹き込んでカーテンを揺らした。
「大人とは思えない光景だな。で、こどもがさらに小さく見えて可愛い。さすが俺の娘だ。写真に収めねば」
「可愛いことは否定しないけど親バカだなぁ、もう。はいカメラ」
ボタン一つで四角いフレームに収まる眩しい幸福。写真でも目眩がしそうだった。
なまえが撮った写真を確認して柔らかく微笑んだ。
「こどももこんな兄弟がいたら楽しいだろうねー」
「作るか?」
半分真面目、半分冗談だった。なまえは真っ赤になりながらこう答えた。
「べ、つにいいけど…痛いのはいやだよ…?」
ああ、とびっきり痛くしてやりたいと考えた俺は馬鹿だ。
110615
―――
お子さんは多分10ヶ月〜12ヶ月?
まえ|つぎ