「可愛い…信じられない、可愛い…」
「さっきからカメラ連写し過ぎだよ
ベビーベッドに寝ている我が愛娘を夢中で写真に納めていた。だって、こんなにおもちゃのように小さな手と足が動いているんだ。信じられない。
「ほんと、可愛い…」
「目尻下がってるよーだらしないパパだねー」
「なまえもな」
「う、うるさい。可愛いもん」
寝ているところを起こしたらいけないので、言い合いもいつもより音量が下がる。くあっと可愛らしいあくびをした愛娘に目尻も更に下がる。
「やっぱり女の子だから私に似たかな…あ、まつ毛はサンダユウに似るといいな。可愛いし」
「お前…俺のまつ毛可愛いと思ってたのか」
「あれ?言ってなかったっけか。すごくサンダユウのまつ毛好きだよ」
ここに来て新たな新事実だ。まさかそんな所を好きだと言ってくれるなんて。具体的に性格以外どの辺が好きとか、あまり言わないので本当に嬉しかった。
「…愛してるぞなまえ」
「な、なにを急に」
「言いたくなったから」
「おぉ…」
愛娘を抱いたバダップが感嘆の声を上げた。赤ん坊を抱くのは初めてなのか、さっきは少しびくびくしていた。バダップのいつものビシッとした表情はなくなって、『ほわあぁ』とそんな感じの顔をしていた。バダップがあのような行為からこんなにも素晴らしい愛の結晶が出来るなんて、と呟いたのが聞こえた。
「名前は決まったのか?」
「ああ、一応な。こどもって。なまえと二人で相談した」
「そうか…シュナイダーじゃないのか…」
シュナイダー?まるでどこかの馬みたいなネーミングだ。
「なまえが中学時代にな、そう付けるって言ってたから」
「………。」
なまえの冗談だったと思いたい。
110526
―――
これは酷い
まえ|つぎ