あ…ダメだ、きもちわるい。頭いたい。体いたい。エスカの顔がゆがむ。床ってこんなに冷たかったっけか。

「なまえ!なまえ!」

ごめんねエスカ、戦闘訓練、付き合ってあげられそうにないや。





「なまえが倒れた?!」
「おう」

一応俺には、親友の恋人?に伝える義務があるだろうと思い、昼休みにサンダユウの教室にきた。サンダユウになまえが倒れたことを伝えると案の定顔を真っ青にしておろおろし始めた。まぁなまえは体調不良などない、鉄人のような人間だと常々話しているので当たり前と言えば当たり前だ。

「珍しいな」

隣で黙々と食べていたバダップがぼそっと話題に混じってきた。

「そ、それで病状は?」
「貧血」
「今は?」
「救護室で寝てる」
「俺ちょっと行ってくるから!あ、エスカバその弁当食ってていいぞ!」
「え」

どたばたと走って行ってしまった。弁当食ってていいぞって…こりゃ食いかけ…。いや…旨そう。うーん…。

「食わないなら俺が貰うぞエスカバ」
「食う」

すごく美味しかった。






「…ん」
「だっ、大丈夫かなまえ!」

夕方、自宅でやっと目を覚ました。

「水飲むか?まだ寝るか?」
「んー…学校は…」
「早退したに決まってるだろ!」

ふぁあああ、と呑気に欠伸をしてなまえは伸び上がった。意外と元気そうで安心した。

「…はぁ…一体俺がどれだけ心配したか…」

もう大丈夫そうだ。そうとなれば、夕ご飯の準備をしなければ。貧血だったなら、今日の夕ご飯は鉄分多目にしないとな。…でもレバーは、なまえ食べないしなぁ。
うーんと頭を悩ませていると、ぐいぐいと服の袖を引っ張られた。何やら言いたげな顔をしている。

「…ね、サンダユウ」
「ん?」

ちゅっ。と軽いリップ音と口に触れたなにか。

「………え?」
「お礼だよ」

かみさま、今、信じられないことが起きました。



―――

まえつぎ




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