「あ、忘れるところだった!はい、これ頼まれてたすっごく怖いホラー映画」と、昨日の帰り珠香ちゃんが置いていったDVD。明日は金曜日だし、サンダユウが寝たらゆっくり観ようかとテレビの横に置いておいた。それが間違いだったのだ。
案の定、私が学校に行っている間にサンダユウはそのDVDに手を伸ばしてしまった。帰ってきた時に大泣きでびっくりした。

「途中で止めればよかったじゃんかー…」
「だ、だって!どうなるか気になるだろ!」
「うん…分からなくもないんだけどさ」

まだ半べそをかいているサンダユウの背中を撫でて、ホラー映画のエンドロールが流れている画面を眺めた。そして消した。

「じゃあ今日のご飯は元気になるオムライスにしようか」
「オムライス!」

それぐらいで元気になるなんて、子供だなぁ。オマケにオムライスに旗を立てた。



「眠れない」

また厄介な。夢と現の間をさ迷っているというのに、現の方に引き戻されるサンダユウの一言。と激しい揺さぶり。もうちょっと可愛く起こしてくれないものか。無理なことぐらい分かっているが。折角のオムライスは意味がなかったようだ。

「んーうー…」
「ねーむーれーなーいー」
「うーるーさーいー…」

もう揺さぶられ過ぎて毛布がずれていた。この寒いのに、なんなんだ。寒い。眠い。ホラー映画なんて借りるんじゃなかった。そして手軽に観れる場所に置いておくんじゃなかった。こうなることぐらい予測できたろうに。私の馬鹿。

「うんうんうん、分かった分かった分かった。目を瞑れ…!」
「目を瞑るとあいつが!あいつが来るんだ!」
「軍人なら倒すべきでしょ…」
「お、おう…」

本当に倒しに行ったのか、自分の布団にいそいそと戻って行った。よかった、寝てくれた。でも、一端布団から出たら次に暖まるまでが辛いんだよなぁ…。ずれた毛布をかけ直した。とり合えずこれでゆっくり眠れる。

数時間後。

「なまえ!なまえ!俺あいつ倒した!」
「………。」

もうキレそうだった。


110625
―――
とにかく眠い。

まえ つぎ




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