「おっ、ぴったり」

喜多海くんが持ってきたコートはサンダユウのジャストサイズだった。ついでに帽子と手袋、長靴もぴったり。その他色々段ボールいっぱいに詰まっていた。

「…あ、可愛い」

ごそごそと漁ると出てきたのは、トランクス。可愛いうさぎさんや、くまさん柄だ。人の前で着替えるとき恥ずかしいねこれ。これを買ってきたのは、多分喜多海くんのお母さんだ。喜多海くんか、喜多海くんのお父さんに買ってきたのか分からないけど、いい趣味してる。

「…履く?」
「だ、誰がそんな…」
「我が儘言わない、居候」

顔を赤くしているサンダユウ。新品だし、あるものは貰っとかないと。でも、八十年後の世界でもこんな柄は恥ずかしいのか。私は可愛いと思うんだけどなぁ。

「さ、その格好のまま買い物行っちゃおうか」
「了解!」
「おぉ、随分元気だね」

出掛けられる、ということで喜んでいるのだろう。ものすごい笑顔だ。表情がころころ変わって面白い。それに綺麗な敬礼。まるでどこかの軍人みたいだ。
自分のコートを羽織って玄関に向かった。サンダユウのこの、下に滑り止めの付いていないブーツは棚にしまってしまおう。

「はい、長靴履いて」

立っているサンダユウの前に長靴を並べた。自分は通学用ブーツを履いた後、サンダユウの様子を見るとまだ長靴をもごもごといじっていた。

「どうしたの?」
「もこもこして気持ち悪い…」
「あー…それは一回脱いで…ちゃんとズボンの裾をこうやって…はい、終わり」
「おぉ!」

裾をきちんと中にしまわないと、もこもこして気持ち悪いことになる。そういえば私も昔は上手く履けなくて母さんに手伝って貰ったっけ。

「よーし、じゃあ行こうか!」

外に出た瞬間サンダユウは盛大に転んだ。



110509
―――

まえ つぎ




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