なんやかんやでサンダユウの居候が決まり、昨日は風呂やらご飯やら寝床やら、世話が大変だった。特にご飯なんか食べようとしなかったのでどんだけ我が儘な居候だと思った。やっぱり八十年後の食事は違うものなのだろうか。完全に信じた訳じゃないけど、もしかして本当かもしれない。
今朝は早起きをして家の前を雪寄せをした。そうでもしないと家が埋まってしまう。玄関で体に付いた雪を払っていると、サンダユウが顔を出した。

「あ、おはよう。よく眠れた?」
「…おはよう。眠れた」
「今ご飯作るから、待ってて」

長靴を脱いで家に入った。サンダユウとはまだよそよしい感じがする。だが無理矢理居候を決めたのは私だ。すこしでも居心地よく、どうにか八十年後?帰ってもらうためにも頑張らなければ。

「な、何故、見ず知らずの俺にそんなに世話を焼くんだ?」
「…は?八十年後って困ってる人に手を貸す習慣無いの?」
「そんなことは、ないが」
「でしょう。君は困ってる人、私はそれを助ける、当たり前。サンダユウは八十年後に帰る方法だけを考えてればいい。さ、ご飯食べよ。好き嫌いしないでね」

さっさと言いくるめて台所に向かった。そうでもしないと意志が緩んでしまう。朝ご飯は、文句を言うことなく食べてくれた。…箸の持ち方がなんだかおぼつかないのは気のせいだろうか。やっぱり外国人なのかな。少し話を聞くと、サンダユウは中学生らしい。大きいから高校生ぐらいかと思ってた。見かけで判断したら駄目だね。喜多海くんとか、函館くんとかも中学生であの体格だし。

「私、学校行ってくるけど、一人で大丈夫?」

コートを着て、マフラーを巻き、学校に行く準備は万端だ。少しばかり学校は遠いので早めに出なければならない。

「大丈夫」
「お昼ご飯はおにぎり作ったし…、火点いてるからストーブは気を付けてね。暇だろうからテレビ見ててもいいよ。あとは…基本自由」
「本当に、行っちゃうのか?」
「学校休む訳にもいかないからさ。帰ってきたら服とか準備しようね」
「なまえ…」

ぎゅっと不安そうにダッフルコートの端を握られた。そりゃあ不安だろうな。見ず知らずの土地、家で一人にされるんだから。

「大丈夫、すぐ帰ってくるよ。行ってきます」
「……。」

今日も寒いな。


110507
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主人公はきっと近所の人に雪かき手伝ってもらってると思う。お礼になんかしてるはず

まえ つぎ




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