乙男デスブレイク
「遅刻ー!」
おはよう!今は急いでるし食パンくわえてるから適当に自己紹介すると、俺は王牙学園一のモテ男で美形のミストレーネ・カルスだよ。いつもは女の子に囲まれて登校するんだけど、今日は珍しく遅刻しそうだから女の子はいないんだ。
「よし近道…うわっ!」
曲がり角で誰かとぶつかった。あまりの衝撃に尻餅をついて食パンも落としてしまった。しかし相手は転んでさえいない。
「いったぁ…何なんだよもうっ!ちゃんと前見て歩けよな!」
『わ、悪いな。急いでたんだ』
「お…女…の子?」
ぶつかって倒れない、と言うことは立派な大人か、男かと思っていたが王牙学園の制服をきた普通の女の子だった。
『おぶるから乗れよ。どうせ遅刻しそうなんだろ?』
「えっ、あっ…」
『ほら』
男前っ…!
ミストレ「ってことがあったの!名前は分かんなかったけど惚れちゃったの!」
エスカバ「ぶぁははははは!おま、おまっ、八十年前の少女漫画かよ!」
ミ「エスカバ笑ったからあとで罰金」
エ「理不尽だ!」
バダップ「俺も今日そんなことがあったな…」
ミ「ほんと?」
西洋風の戦闘訓練でだな、周りを敵に囲まれて俺達のグループは窮地に陥ったんだ。残りは俺一人になって、どうしようかと考えている時に…。
『第二小隊!突撃!』
とまあ、味方グループが助けてくれたんだ。別に助けてくれなくても良かったのだが。白馬に乗った隊長の指示がよかったのか強くてな。気付いた時には周りにいた敵は全て倒れていた。
『大丈夫か?』
「あ、ああ」
あまりに強いから男かと思っていたが、その白馬に乗った隊長は女だったんだ。
『助けるのが遅くなって悪かったな』
手を差し出すその姿は王子さまに見えた。
エ「ぎゃはははははは!今度は白馬の王子さまかよ!」
ミ「エスカバ煩い!いいじゃんねぇバダップ!だって俺もあの子王子さまに見え……あれ…もしかして同一人物?」
バ「可能性は高いな」
ミ「惚れた?」
バ「惚れた」
ミ「じゃあバダップお前今日からライバル」
エ「前々からじゃねぇの?」
ミ「黙ってて!」どんっ
エ「うわっ」
『おっと』
ミ・バ(王子!)ずきゅーん
『大丈夫か少年』
エ「は、はい…」
『喧嘩はほどほどになー』ひらひら
………。
エ「バダップ」
バ「おぉ」
エ「ミストレ」
ミ「うん」
マジ王子!―――
理解に苦しむ
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