今年も残す所10日を切り、いよいよ明日はクリスマスになった。あたしは12月になってからすごく楽しみで、1日から自室は既にツリーやら靴下やらクリスマスに纏わるものがたくさん飾ってあった。
ボスは今夜開かれるボンゴレのパーティに出かけてしまったが、日付が変わるまでには戻ると言って出かけて行った。 いつもなら落ち込むのだが、今日のあたしには好都合だった。何故なら、今年はボスのためにケーキを作ろうと計画を立てていたから…… そのために、毎週ルッス姉さんに教えてもらいながら作る練習を何回も重ねた。 その所為で、みんなはケーキを食べるのに飽きてしまったくらいだ。
ボスは甘いものを好んで食べないからビターチョコレートのケーキを作る事にした。
「ゲッ、まーたケーキ作ってんのかよ…」
騒ぎを聞き付けたのか、フラフラとベルがやって来た。
「なによ!これはボスのなの!!ベルになんかあげないんだからねッ」
ベーとしたを出して、しっしと手で追い払おうとしたが、ししっと笑いながらズカズカと中に入って来た。
「ししっそんな事知ってるつーの。ほら、その為のプレゼント」
「え!!ほんとに!?!?ベル、ありがとー!!」
ポンって頭の上に大きめの紙袋を乗せると、ヒラヒラとキッチンを後にした。
「まゆ〜?大丈夫?」
買い物の帰りなのか、大きな袋を持って心配そうにキッチンを覗きに来てくれたルッス姉さん。
「うんっ!!今の所は大丈夫。あとはデコレーションするだけだよ」
「よかったわぁ〜それならまゆ、一番得意だものね!!頑張るのよぉ♪」
ルッス姉さんはそれだけ言い残すと、今日はパーティよ〜!!と言いながら自室に戻って行った。
小1時間程するとケーキも完成し、箱に入れると冷蔵庫の中へ入れた。
そしてベルから貰ったプレゼントを開けてびっくりした。入っていたのはサンタの服で、カードには "王子からまゆとボスにプレゼント これ着てボスと幸せにな" と書かれていた。
「ベルのバカァァァ!!!!」
「ししっ」
ラッピングやらお風呂やらいろいろしているうちに、あっという間に22時になってしまった。 あたしは(一応)ベルに貰ったプレゼントを着て、ボスの部屋で待機する事にした。でも前日の任務と今日のドタバタで、あたしの眠さは最高値に達していた。 そしてソファでゴロゴロしていると眠りの世界に入ってしまった。
おかしい…… 俺が帰って来たのにアイツがでてこねぇ。いつもは玄関を開けると飛び出して来やがるのだが…… 疑問を抱えて自室に戻るとソファから規則正しい寝息が聞こえた。覗いてみると、びっくりした事にサンタの服をまゆが着ていた。 ザンザスはいつもの様に叩き起こそうとしたが、あまりにも幸せそうな顔で寝ていたためにそうする事ができなかった。その代わりに、ベッドまで運び、布団をかけてやると自分もその隣りで寝ることにした。
「オイ、まゆ……いい加減に起きろ」
これで何度目か分からない程、声をかけたが起きねぇ。もう昼近いというのに、俺が何度叩いても起きねぇ。コイツの寝起きの悪さは俺を優に超える。 仕方なく耳元で喋る事にした。
「テメェいい加減にしねぇとカッ消すぞ」
「きゃぁぁぁぁ!!」
まゆは布団からすっ飛んだ。
「ごめんなさい!!それだけはやめて!!!」
寝起きでテンションのおかしいまゆは、半泣き状況で布団にくるまり、オロオロしている。
「やっと起きやがったか…」
「え?」
「これが一番見たかったんだろ?」
そう言われてテラスを指差したザンザスの顔を見ると、得意気な顔で"見てみろ"と言われた。 あたしは素足のまま窓に近付くと、そこには一面の銀世界が広がっていた。
「わぁ!!雪だ!!」
あたしがきゃあきゃあ騒いでいると、後ろからザンザスが手を重ね、振り向くと唇が重なった。
「寝てんじゃねぇよ」
「ごめんなさい……」
「フンッまぁいい………テメェにやる」
「え!?」
そう言って渡されたのは、ルビーの入ったネックレス…まるでザンザスの瞳の様にきれいな紅色をしていた。
「ありがとう…ザンザス」
そう言ってあたしは彼の大きな胸板に顔を埋め、背中に手を回しギュッと抱き締めた。するとザンザスも抱き締めてくれた。
「あぁ、愛してる」
「あたしも愛してるよ」
「「Merry Christmas」」
待ちに待ったこの日
(あたしからは、このケーキね) (………いらねぇ) (ちょっと!!甘さ控えめで、ザンザスのために作ったんだよ!?) (テメェと一緒なら食ってやる…) (ちょっとッ////) (そんな格好でウロチョロするテメェがアホなんだよ)
("忘れてた!!"いや…これには事情が) (そんなの今更おせぇ)
(死ぬぅぅぅぅ!!)
2010/12/25
|