お題 | ナノ
任務を完了させ、アジトに戻ると真っ先に自分の部屋に行った。
返り血のたくさん付いた血生臭いコートを洗濯籠に放ると、車の中で書いて来た報告書を持ってボスの部屋に向かった。
今回の任務に深夜の暗殺だったから簡単だったものの、数の多さに手間取り、結局は帰って来られたのは朝になってからだった。
ここ連続して任務のため、休暇である今日は少しでも多く睡眠時間をとりたい。
そのためにも早く報告書を出さなければならなかった。



2回ノックをすると返事を待つ事なく扉を開けた。

「報告書持って来ましたー」

「…あぁ」

どうやらボスは意外にも仕事中の様で、いつも以上に眉間の皺を深く刻み書類の山と睨み合っていた。
あたしはこの不機嫌なボスのとばっちりを受けたくない。一刻も早く自室の布団で寝たい。

「オイ」

「何?」

ボスの所に報告書を出しに来たら呼び止められ、目でこっちへ来いと言われた。

少しすつ歩み寄ると、手を掴まれ目が合った。
そして目が合ったままあたしの右手に唇を持っていき、ペロリとひと舐めした。


「ちょっとッボス!!」

「ちゃんと手当てしろ」

「え?」

手の甲を見ると弾丸で掠ったのか、真新しい傷口があった。


「ほんとだ」

「……早く行け」

「!!……ありがとう、ボス」


些細な事をきっかけに
生まれるらしい


(あれ?ボスってあんなに優しかった?不意にもドキドキしちゃったよ!!)
(どうしよう…ボスが格好良過ぎて輝いて見える!?)


2011/01/27

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