娘の彩花が生まれてもう3ヶ月経とうとしていた。最初は抱っこさえ戸惑う俺だったが、今ではオムツを変えれる様にまでなった。子供の力はすげぇと思う。
現在も進行形でいつも様に、オムツを変えている。
彩花は羽根エクステがお気に入りらしく、抱いてやるとずっと離さねぇ事も多々ある。
「オイ、できたぞ」
「あ、はーい」
そう言って彩花をまゆに渡そうとするが、エクステを放そうとしない。
しかし今日はこれから任務の準備がある。明日からまた長期任務だ。
無理矢理放そうとするが、すぐにぐずぐずしやがる。
「ザンザス、彩花放さない様だから寝かしに散歩してきたら?」
「……これから何があんのか知ってるだろ?」
「うん…あたしやっておくから、ほらっ」
そう言って俺の背中を押して送り出したまゆの顔は泣き出しそうな顔だった。
無理もない。2日前に本部から帰って来てから、お互い彩花のおもりや仕事やらで、まともに構ってやれてない。
後で構ってやるかと思いつつ、とりあえず彩花と散歩に行く事にした。
散歩に出ると俺と同じ真紅の瞳がキャッキャッと笑う。髪は母親に似たのか少し茶色掛かっておりサラサラだ。何よりも笑顔がまゆにそっくりで2人で笑った時には、たまったもんじゃねぇ。
結局の所俺に似たのは瞳の色だけだった。それを聞いた時の幹部の奴等の反応といったら……
コイツは散歩がすげぇ好きだとまゆから聞いていたが、いつも以上に喜んでやがる。まだすわったばかりの首を支えながら歩くと、庭の花の前でぐずった。白い小さな花だ。仕方なくちぎってやると、またキャッキャと喜んだ。
庭を歩き回って10分位経った時、彩花はウトウトとし始めた。先ほどの花を取ろうとすると、しっかりと握っていてはなさなかった。仕方ねぇと思いながらもそのまま寝かせる事にした。
すると5分もしないうちに彩花は寝た。あとはこのまままゆの所へ行くだけだ。
廊下を歩いていると、一番会いたくねぇやつに出会ってしまった。
「んまぁ!!ボスがいないと思ったら彩花の子守?」
ルッスーリアだ。相変わらず高いテンションと声で、耳がいてぇ。そして一人気持ち悪い動きを始めやがった。
「……黙まらねぇとカッ消す」
そう言って睨んでやると、彩花を覗き込む様に見た。
「あらー、お昼寝中だったのね。ごめんなさい」
「分かりゃいい」
「それにしてもこの子…なかなかやるじゃない」
「…?」
オカマはニヤニヤ彩花と俺を交互に見渡しやがった。気色わりぃ。
「イヤーね、ボス!!この花何か分かってないの?」
「うるせぇ」
「この花は"クチナシ"。確か花言葉は……言わないでおくわ」
「あ"ぁ?」
「まぁこの子からボスにまゆへプレゼントしろって事よ!まぁ!!!もうこんな時間!!!わたしは失礼するわ」
それだけ言い残すとルッスーリアは風の様に去っていった。
自室に帰ると任務の準備をするまゆと目があった。
「おかえり」
「あぁ」
そう言って彩花を渡し、まゆの頬にそっとキスした。
「もう!!いきなりなに!?!?」
「フンッ…後で構ってやる」
「ちょっと!!!!」
俺の言った一言で顔をゆでだこの様に真っ赤に染めるのを見て、俺は部屋を去った。
パパと遊びに行く
(あの子絶対大物になるわ)
(ん"?彩花か?)
(スクったら、それ以外に誰がいるのよぉ!!)
(う"ぉ"ぉぉぉい!!!!いてぇぞぉぉ!!!)
(クチナシの花言葉は"私は幸せです"…今のボスにピッタリじゃなぁい!!!)
2010/11/07 |