パパ | ナノ
「ん゛〜!う゛ー!!!!」

「まゆ!!頑張るのよッ!!ボス、もうすぐ来るから!!!!」

「う゛ぉ゛ぉぉぉい!!まだかぁクソボスぅ!!!!」

「ス、ク…うる、さい……」

「うぉ゛、すまねぇ…」


あたしのお腹はあっと言う間に大きくなり、臨月を迎えた。そしてまさに今、赤ちゃんがお腹から出て来ようとしている。しかし、予定日より2週間も早いので、ザンザスはベルと任務に出てしまっている。

「う゛ぅー……ザン…ザス、は?」

「ボス??ボスはもうすぐ到着するわ!!それまで私がついてるわよッ」

ルッス姉さんはあたしの手をとり、ギュッと握ってくれた。反対の手をスクアーロが握ると、病室のドアが勢いよく開いた。

「ボスがお帰りになられたぞッ!!」

「んまぁ!!間に合ってよかったわぁ〜」

レヴィが汗だくになって病室に入って来ると、その後ろからザンザスがやって来た。態度には出さない様にしているが、あたしを見つめるその瞳はとても心配そうだった。

「退けカス」

「うぉ゛ッ」

長い足でスクアーロを蹴飛ばすと、ベッドの横にドカッと座った。そしてあたしの顔を覗く様にして見た。

「オイ」

「ん?な、に……?」

そう言うとあたしの手をギュッと握ってくれた。そんなザンザスにドキッとしたのは言うまでもない。

「くたばんじゃねぇぞ」

「……頑張る」


そしてあたしは一人で分娩室へと運ばれた。




「ボス……大丈夫よ。まゆは強い子だもの」

「そうだぜぇ!!お前の女なんだぁ」

「うるせぇカス」

「ブヘッ」

「何?ボス、またクソ鮫いびりしてんの?ししっ…まだ生まれてないよな?」

「ベルちゃんおかえり、ええまだよ」

「ってかボスのあんな必死な姿初めて見た……」

「それだけ、まゆはボスにとって大切なのよ」






「おぎゃあおぎゃあ!!!!」

「「「「!!!!!」」」」

「生まれたわよ〜ん♪」



パパになる。



(おめでとうございます、元気な女の子です!!)
(ザンザス!!抱いてみて)
(うるせぇ……"やべぇ")
(赤ちゃん…可愛いね)
(……あぁ)

("あんなにうるさいお母さん初めてだわ……")


2010/10/22

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