gi-short | ナノ
あー今日も学校とかほんとにありえない。知ってる?今日から冬休みなのに…なんであたしもなの?校長アホじゃないの?と思いつつも学校へと足が動く。


……だって先生に会えるから。





あたしは学校が大っ嫌いだった。親の転勤ばかりで、友達の出来る間もないまま、転校ばかりが続いていた。そして友達を作る事をやめた。
しかしこの学校に来て全てが変わった。学校が、Z組が好きになれた。
好きになれた理由に、担任坂田銀八の姿がある。


あたしはこの学校に転校してきたものの、ほとんど学校に行くことはなかった。

しかし先生はしつこく何度も家に来た。

「だーかーらー!!行かないって言ってるじゃんッ」

「来てみねぇと分かんねぇ事たくさんあるぜ?」

「行く意味が分からない」

「んじゃ、意味見つけるために行けばいいんじゃね?」

「え?」

「俺は勉強しろとか強要しねぇから、来るだけ来てみろ」

"なんだアイツは!?!?"というのが第一印象……
でも先生のおかげで学校に行ってみようと思えた。

実際に行ってみるとZ組は今までのクラスとは全然違った。


「あ!!まゆが来たアル!!!!」

「おはよう、まゆちゃん」

みんなが声をかけてくれるなんて初めてだった。

「アタシ神楽って言うネ!!」

「妙よ、よろしく」

あたしには十分な理由ができた。










「おはよーございまーす」

「おーい授業始まってんぞー」

ちなみに今日から1週間Z組は補習だ。今は1限目現文。
当たり前の様に遅刻。でも先生はいつもあたしを"出席"にしといてくれる。
あたしだけ?なんて言えたらいいのに…

「分かってまーす」

「登校してきただけ優等生だな、よし出席」

「先生、ありがと♪」

先生にウィンクすると、自分の席に着いた。




「よし、今日はここまでー。各自で終れ」

「ありがとうございました」

「あと、まゆ」

「なに?」

「補習終わったら、俺のとこ来いよ」

「えー!!!!」

「単位無くなんぞ」

「うッ…はーい...」

補習の挙句、居残りになってしまったあたしのテンションはかなりブルーだった。




放課後になり、国語準備室の前。

「失礼しまーす………あれ?」

ドアを少し開けて覗いてみると、ソファに寝転ぶ先生の姿が目に入った。

「…………」

「寝てる??」

どうやら先生は寝ている様だ。それをいい事にあたしは、先生の髪に触れた。

「うわぁ…ふわふわしてる……それにしてもキレイな顔してるよね」

最初は少し触れただけで満足するはずだった。でも、こんなにも先生を見てるともっと触っていたくなった。
あたしの手はだんだん下がっていき、先生の頬に触れた。

「(ぷにぷにしてるー!!)なんでいつも遅刻しても出席にするの?あたしだけ?
あたしは…先生が…好き…大好き……」







「まさかまゆが俺の寝込みを襲うなんてねぇ…」

「えッ!!…きゃっ」

視界が逆転したかと思うとあたしの目には天上と先生の顔が写った。

「せんせッ、退いて!!」

「この状況で退く男なんていねぇよ」

「淫行教師!!」

「うっせぇ………さっきの言葉信じていいのか?」

「………え?」

「だぁーから……"好き"って言ったじゃん」

「!!!!!!!」

「あッおい!!」

あたしは咄嗟に先生のしたから抜け出し、準備室から出ようとした。だって今のままじゃ言い訳もできない。顔だって絶対真っ赤だし……

「待てよ」

「きゃあ!!」

あと一歩の所で腕を掴まれて逆戻り。しかし、それでバランスを崩したあたしが受け止められたのは、銀八先生の腕の中だった。



「……あっぶねぇなぁ」

「だって先生が引っ張るから」

「いいのか?本気にしちまうぞ」

「ななな何が!?!?」



「だから、…俺もまゆが好きって事」






「え?」


そう言って先生は優しくギュッと抱き締めた。


(教師だから、気持ちにブレーキかけてたんだけど…)
("好き"なんて言われたら壊れちまった)


(ずっと見てた、ずっと好きだった……だから俺の彼女になってくれませんか?)

(はい!!!)


そう言うと少し頬の赤らめた先生が二カッと笑うとあたしにキスをした。


2010/10/31

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