X-1 | ナノ
1 [ 1/2 ]
よく晴れたある日の午後。いつものお茶の時間に事件は起きた。
その日は、珍しくボスも参加し、談話室で休憩をとっている時、ベルによって引き起こされた。
「まゆってさ、……よーく見ると可愛いよな」
「ブゥッ…!?!?」
「ゲッ…お前ら汚ぇな」
どうやらお茶を吹いたのはあたしだけではないらしく、隣りを見るとスクアーロも気管に入ったらしく噎せていた。
「ゲホッゲホッ…なにいきなりッ!?」
「う"ぉぉおい!!まゆのこんな汚ぇ姿見て誰がそんな事思うんだぁ?」
「スクだって人の事言える訳?あたしより汚いじゃん!!」
そう言って近くにあったティーカップ(スクアーロの)を投げ付けた。
スクアーロの言う事に反論しない訳ではないが、その通りだ。
幹部以外の大体の人には無愛想だし、告白された事も異性から声をかけられた事もない。
自分でもほんとに可愛くないなぁと思う事も数知れず。せめて愛想だけでもよければとは思うが、人見知りのあたしがそんな事できる訳ないし……
「ボスもそう思わねぇ?まゆのコト」
「ちょッ!!!!ベル!!!!!」
自分の世界に入っている間に話がどんどん進んでいて、ベルは人事だと思ってボスにまで聞き始めた。ちなみにレビィ以外のみんなはあたしの気持ちを知っている。ベル曰く、行動で分かるらしい。
「そんな事聞いてどうする」
デスヨネー…
ボスがそんな事答える訳ないですものー……
「………まぁ、身体付き以外は普通だ」
「ッ!!!!」
ベルがいやらしい顔をこっちに向けながら、ボスに聞き続ける。
「ししっ、なら普通って事は"ブスではない"って事でいい?」
「フンッ、好きにしろ」
不意打ち
ここにいるみんなが暖かい目で、こっちを見ているのがとても恥ずかしかった。
……でも、あたしにもちょっとだけ希望がある事を望んでもいいのかな?
2013/01/15
[*prev] [next#]