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あたしは死ぬ覚悟を持って部屋を勢いよく開けフライパンを振り下ろすと目を疑った。





「な…んで……いるの?」


あたしがいつも眠るベッドには、上半身裸で所々に傷のある彼がいた。


ゴトン…

フライパンを滑り落とすと、ぴくりと反応をし欠伸をひとつすると目があった。


「……遅ぇんだよ、カス」


「ザ、ンザス……」

ザンザスを見たあたしは緊張の糸が切れ、ぶわっと涙が流れた。

「泣くな」

「だって、どろぼ…かと、思…た…し、ひっく、ザン、ザスは…ボインの、ひっく…お姉、さんと」

「ハッ、そんなもん居ねぇ」

「だ、から…気ゆる、じゃって…ふぇ、も、バカァ……」

ザンザスはあたしの方へ歩み寄ると、ふわりと自分のシャツをかけてくれると、荒々しくだけどギュッと強く抱き締めてくれた。


「フンッ、テメェもまだガキだな…まゆ」

「ふぇぇん…どうせまだ、こどもだ…もん……さみし、か…ひっく…たんだもん」

「だから来てやったんだろ」

どうやら本当に心配して日本まで来てくれたらしく、幼い子供の様に泣きじゃくるあたしの頭を優しく撫でてくれていた。


「でも、あた…し、もう…ひと、り…ひっく、いや…だ……はや、おとな…ひっく、に…な、て…そっち行き、た…ひっく……」

「まだ……駄目だ」

「ひっく…なん、でぇ?」

「テメェが学生だからだ」

「分かってるもんッ!!」


「それに………」

「なに?」

「……テメェがこんなに弱ったのを見られるのも今のうちだ」

「なにそれ」

あたしの涙はいつの間にか引っ込み、ザンザスの顔を下から見上げた。

「それくらい分かれ、カス」

そう言ったザンザスは少し照れていた。

「もしかしてあたしが……かわいいの?」

それだけ言うとザンザスはうっせぇと言いながらあたしの頭を自分の胸に押し付けた。どうやら当たったらしい…


「まだ高校生のくせに生意気言うんじゃねぇ」

「うるさいな……でも



ザンザス大好き…だよ」

恥ずかしくて顔を埋めていると、まゆ…と優しい声で呼ばれ顔をあげた。

「なによ」

「Ti amo…まゆ……」

「ば、ばっかじゃないのッ////」

そう言ったザンザスの顔は今まで見た中で一番優しい顔…

さっきまであんなに大人になりたいと思っていたのに、照れてザンザスの顔を見たらもう少しならこのままでもいいかなぁと思った。


大人になりたい


(そういえば、どうやって家に入ったの?)
(……ヴァリアークオリティーだ)
(はぁ!?!?)
(いい加減黙れ、まゆ…カッ消すぞ)
(はーい)


2011/01/21

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