世の中じゃ『高校生が一番楽しい』なんて言われるけど、実際はそうではないと思う。だって現に高校2年生のあたしは楽しくない。
毎日授業の勉強、週末には山のような宿題と過度の部活動。部活には自由加入のはずなのに、実際は強制加入せざるをえないのが暗黙の掟。
周りには『受験』と騒ぎ出した教師や塾の先生のプレッシャーと日々戦いながら毎日生活する。
たまにツー君やもっちゃん(山本)、獄寺君、ハルに京子ちゃんと一緒に帰ったり遊んだりするけど……あたしは日々不満を感じる。
そんな毎日の所為であたしは好きな人にもなかなか会えない。というか彼氏に…一応だけど。
彼も彼で暗殺部隊のドン。その上ボンゴレ9代目の息子。しかも相当の俺様でわがまま。
出会いなんて最低最悪…
ツー君の御披露目パーティに参加した時、将来あたしもみんなと同じ様にボンゴレへ行くつもりなら…とみんなが連れて来てくれた。
そこであのヴァリアーに会った。かつて敵同士だったが今となっては良いライバルみたいなものだ。
みんなが挨拶を交わす中、ツー君もザンザスにしたが無視。何回しても完全無視。
ザンザスがツー君のことを嫌っているのは知っていたけれど、その様子を目の当たりにしたあたしはキレた。
「あんたさぁツー君が何回も挨拶してるのに無視すんなよ」
「あ"ぁ"?…テメェ俺に逆らうのか?」
「逆らうもなにもあんたがマナー違反だって言ってるの!ツー君に謝って!!」
「まゆ、い、いいよ!!俺気にしてないs
「ツー君が良くてもあたしが嫌なの!!!!」
「うるせぇ」
そう言ってザンザスはあたしに持っていたワインをぶっかけた。おかげであたしは上半身ワイン塗れだ。
「な!!」
「少しは黙ってろ、カス」
あの勝ち誇った顔で笑い、この場から離れるザンザスに完全にキレた。
そしてあたしはズケズケと彼に近付き平手打ちを食らわした。
「あんたみたいな人間大っ嫌い!!!!」
周りの空気はしんとなり、スクアーロは大口を開け、ツー君はオロオロしていた。
「ほう…この俺に平手打ちとはいい度胸だ」
ザンザスはあたしの顎をクイッと上げ、ジロジロ舐める様に見た。
「なによ!!女を殴る気!?」
「ブハッ!!気に入った…威勢のいい女はキライじゃねぇ……テメェ俺の女になれ」
「は?」
その言葉に周りのみんなが固まったのを今でも思い出す。
それからいろいろあって、何だかんだでザンザスを好きになり、彼も一応は好きでいてくれている様だ。
でも不安になることもたくさんある。彼の周りにはきれいなボインのお姉様がたくさんだから浮気してるだろうし、あたしがメールしても返してくれない。何より会えないのがあたしの心臓をキュッと締め付ける。
周りの友達のそう言う話を聞く度に、あたしは寂しい気持ちでいっぱいになってしまう。
日本に来るのもいつも突然で何時来て何時まで帰るのか知らない。だから会える時間だってちょっとだったりする。でもそればかりはどうしようもないっと自分に言い聞かせる。
今日も友達と家に帰る。着いたら独りだ。両親は共働きで遅くまでいない。ツー君ママは何時でもおいでって言ってくれるけど…
玄関で鍵を出し、扉を開けようとしたらびっくりした。
「ん!?」
………開いている!!
今朝しっかりかけて確認までしたのに………
扉を開けると大きな足跡が続いている。リビングを通りキッチンに行くとフライパンを持って足跡を辿った。
えッ…あたしの部屋に続いている!!
あたしは死ぬ覚悟を持って部屋を勢いよく開けフライパンを振り下ろすと目を疑った。
2011/01/19 |