re-short | ナノ
とんでもない事をやらかした!!!!
まずい…これはまずい…
何がそんなにまずいって??



ベスターの下敷きにされてるんだよ!!!!



可愛いヤキモチ


あたしは朝から、ボスの執務室でベスターと戯れていた。しばらく遊んでいると任務の時間が近付いて来たので、用意をしに自室に帰ろうとしたが、ベスターに服を踏まれて動けない。無理に動こうとした結果がこれだった。

案の定ボスは長期任務から帰って来てから隣りの部屋でお昼寝中…
大きな声を出してもいいのだけれど、その後のボスの不機嫌さといったら……

そんな事を考えていると、誰かが入って来た。


「何時まで王子待たせるつもり?まゆおいていくよ、ししっ」

「ベールー!!」

あたしの声に気付いたベル。
やった!!これで任務に行ける。ボスに怒られなくて済む!!!!

しかしベルはあたしの想像に反した行動をした。


「げ、ベスターじゃん。王子苦手なんだよねー」

「そんな事言わないで助けてよ!!」

「無理。ベスターも俺の事睨んでるし、ししっ
まゆどんまーい」

ベルは見え見えの嘘を言い倒し、ヒラヒラと手を降りながら執務室を後にした。

「ベルのアホぉぉぉぉ!!!!!!」

ベスターは相変わらず、のっている…と言うか、あたしを抱えたまま座っている。
あーもう最悪だよ。絶対ボスに殺される。その前に、このままベスターにふづされて死ね…かも。

ボス…ごめんなさい。今までの行い全部謝るから……
ボスのワイン割っちゃった事も、高い花瓶割っちゃった事も、ベルとソファで飛び跳ねた事も、

隊服勝手に羽織った事も、
隊服持ち出した事も…


やっぱり死ぬならボスの腕の中がいいよ。

ベスターの力が以外にも強くて、あたしは意識がだんだん遠のいてきた。


ボス…助けて……………






ふっと意識が遠くなった瞬間、大好きな匂いがした。


次に目を開けた時には、ボスの膝の上でボスの紅い瞳が目に入った。

「あれ?ボス??」

「チッ」

(コイツ舌打ちしたよー!!)
「……なんか文句でもあるのか」

どうやらこんな時に超直感を使ったらしい。

「ごめんなさい……助けてくれてありがと」

「フンッ」

「うわっ!!」

ボスにひょいっと肩に担がれると、ボスの自室の大きなバスルームに落された。

「ふぎゃ…痛いってば!!」

「黙れ」

ボスはどうやらご立腹の様で、無言で蛇口を捻るとまだ冷たいシャワーをあたしに向かってかけた。

「ちょっと!!ボ、ス…服、濡れちゃッ!!」

「………」

「ねぇ!!ボス…ってば!!」

何度呼び掛けたか分からない。なのにボスは返事をしてくれない。不機嫌なのは分かるけど、返事くらいしてよ……

「うっ…ひっく、ひっく……ボスのばかぁぁ」

「あ゛ぁ!?!?」

「そんなボス、は…キライッ!!」

あたしはバスルームを飛び出し、全速力で自室に繋がる廊下を駆け抜けた。
こんな事を言ったのはいつぶりだろう。普段なら、あたしが折れて謝るだろうけど、今日はそう言う訳にはいかない。
あたしだってボスがいない間ずっとずっと寂しくて辛い事あっても泣かなかったのに、おかえりも言わせてくれずにずっと部屋に籠って……
やっと出て来てくれたと思ったらベスター……

ちょっと戯れてただけじゃん。寂しかったんだもん…



自室に着き扉を勢いよく閉めると、我慢していた涙がぶわっと溢れた。

「ふぇ…ひっく、ひっく…気付いて、…くれて…も、い…じゃん」



「テメェが悪いんだろ?」

「え?」

扉が開いたと思ったら、いきなりボスに抱き締められた。

「……嫉かせるなカス」

「ボボボボス!!え?ベスターに嫉妬?」

「…カッ消すぞ」

「ごめんね……」

あたしはボスの背中に手を回し、ギュッと抱き付いた。



(あたしもずっと寂しかったんだからね)
(それとこれは別だ…)
(ちょっと!!手!!)
(俺の事しか考えられなくなれ)
(ギャー!!)


2010/10/01

- 9 -

← | →


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -