初めまして、可愛い赤ちゃん。


 これは、私が両親と助産師さん以外の人(人…なのかな)に生まれて初めて言われた言葉。何の変哲もない、有り触れた言葉でしょう?それでも私には、特別な言葉なのです。





二月十一日





「菊さん、こんにちは!」

「おや、なまえ。学校はどうしたんです?」

「いやだ、菊さんてば!今日は菊さんのお誕生日ですよ!」


 そう言えば菊さんはああ、建国記念日…と呟いて、にこりと笑った。ドキ、胸が少し高鳴る。いいな、菊さんは、綺麗で。


「私が誕生日ということは、なまえも誕生日ですね」

「はい!」


 菊さんに負けないように、満面の笑みを浮かべる。だって、嬉しい。覚えやすいからって理由もあるだろうけど、菊さんが私の誕生日を覚えててくれてるのが。


「幾つになりましたか?私の記憶が間違いでなければ…今年で16かと思いますが」

「正解です!菊さんは確か、2672歳ですよね」

「ええ、私も随分歳を取ったものです…」


 き、くさんが、沈んでる…毎年菊さんはこの言葉を呟いて、ちょっと項垂れる。去年は確か、プレゼント交換をして機嫌を直したっけ。今年はどうしようかな?

 ……そう、だ。


「菊さん、16年前のこと、教えてください」

「16年前のこと……ですか?」

「はい。私が生まれた時、家族やお医者様以外で菊さんが一番に私を抱っこしたんですよね?」

「ええ」

「今まで気になってたんですけど、どうしてだったんですか?」


 私の家と菊さんは、別に特別な繋がりがあったわけではなかったらしい。国と国民、のごく普通の関係だったんだって。なのにどうして菊さんは、あの日その場所にいたんだろう?


「そう…ですね、話したことはありませんでしたか。あの時はですね…」


 そう、確かあの時私は、







本田の年齢は書いてた当時の

110815