何も言わずそっと抱き締めてくれる貴方は、もう、いない。


「………嘘、でしょう?」





 哀悼 (悲しみにくれる今日よりも、哀しい明日にむかって)





 ストン、と郵便受けに入れられた、一枚の紙。それは、私たちの運命を引き裂いて、貴方の運命を遮断させるものだった。


「嘘、なんでしょう?」

「…嘘じゃない」

「だってまだ、年齢的にも…」

「それだけ日本が負けそう、ということでしょう」

「…木手、くん…」

「近いうちに、俺や平古場君の元にも届くかも知れませんね」

「そんな…だって私たち、まだ14じゃない…」

「年齢とか、もう国は考えてないでしょう。男なら皆駆り出されます」


 私の父も兄も2年前に戦場へ旅立った。それっきり帰ってこない。きっともう帰ってこない。甲斐くんも行ってしまえば、きっともう帰ってはこれない。当たり前、だってお父さんもお兄ちゃんも甲斐くんも、普通の一般市民なのだもの。武器なんて持ったこと無いのだもの。なのにどうして。どうして戦場に出したりするのかしら。







沖縄に修学旅行行った時に書こうと思ったやつだと思います。

140506