もしもこの世界に私と貴方しかいなかったなら、私は貴方に恋をしたかしら。





例えば、なし





「…なんだ、いきなり」

「もしもの話よ。もしもこの世界に私たちふたりだけしかいなくて、そうしたら私は貴方に恋をしていたのかなって」

「…変な考え方だな。ふたりしかいないんだったら、恋するしかないんじゃねーの?」

「本当にそうかしら。私は、してはいなかったと思うわ」

「どうして、」

「だって、毎日お互い一緒に過ごすのよ」

「今だってそうじゃねーか。毎日一緒に学校行って、同じクラスで、同じ部活で、一緒に帰って」

「そうね。でもそれは、毎日お互いだけと過ごしているのではないでしょう?」

「…あ?」

「他の人…誰でもいい、例えばお父さんやお母さんだったり、先輩だったり同級生だったり。そういう、私ではない誰かとも過ごしているから、恋をして好きになったのよ」


 会えない時があったり他人と接する機会があるから、愛しい人を思い出したりできるの。自分の気持ちに整理をつけることができるの。愛しさを募らせるのも、逆に冷めていくのも、会えない時にかかっているのよ。


「難しくてよくわかんねー」

「そうね、大我には少し難しかったかもしれないわね」

「おま…っ、バカにしてんだろ」

「ええ、馬鹿だと思ってるわよ」

「くっ……まぁいい。…けどさ」

「なに?」





「例えそうだったとしても絶対に、俺はお前を愛するぜ」





(大我ってこういうとき、すごくかっこいいわよね)
(あ?こういうときってなんだよ)
(ふふ、嘘。いつでも貴方はかっこいいわ)
(やめろ、なんか照れるだろ)

(お前らー部活中だって分かってんのかー?つーか火神、ムカつくからイチャつくんじゃねー死ねばいい)







砂糖吐くくらい甘いのが書きたかった私には無理だった
私の恋愛観ではないですが

110813