「ベル、ベル、」





ベルフェゴール





「ベルって面白い名前ね」


なんで?


「知っている?英語で『ベルフェゴール』って、『La pigrizia(怠惰)』って意味なのよ」


ふーん、なんか、ムカつく。


「それに、合衆国じゃ『ベルフェゴール』は悪魔なのよ、怠惰と好色を司る、ね」


好色?


「そう、でも『ベルフェゴール』は女嫌いなの。女性不信なんですって」


じゃ、王子とはカンケーないね。


「ふふ、そう、ね。ベルとは、関係ない」


「合衆国では『ベルフェゴール』は忌み嫌われてるの、悪魔だものね」


「でも、私は好きよ、ベル」


“好き”、その言葉をあらわすその唇を、愛しいと言わずしてなんと言うのか。

ベル、ベル、ベルフェゴール、そうやってオレの名前を紡ぐってことは、故郷は捨てたということ?

王子に囚われる覚悟が出来たということ?





ベルフェゴール





王子の名前が悪魔ならば、その罪の中にもう一つ付け加えとくといい。

『狂愛』

どう、今の王子にはピッタリでしょ。







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