「ルートさん、ルートさん、ごめんなさい、ごめんなさい、」


 お願いです、お願いですから、どうかもう止めてください。





おおかみと七ひきのこやぎ





「ルートヴィッヒさん、ごめんなさい、もう…」


 止やまない手。止とまらない時。

 侵されていく私の国(からだ)。犯されていく私の肉体(からだ)。

 涙は流れない、でもとても悲しい。貴方の顔はとても穏やかで、でも心はそこにはない。今の貴方にあるのは怒りと憎しみだけ。


 ―――――事故、だったと、思う。

 ルートさんがイタリアさんや日本さんと一緒に戦争をしている間、ずっとルートさんに守られていた私は、恰好の的だったのだろう。ここぞとばかりに皆……とくにアメリカさんとロシアさんが私を欲しがった。

 豊かな自然にあふれている私。小さな島国で、アメリカさんには行きにくい入り組んだ場所、ロシアさんからは遠い場所にいたから。いつもルートさんに守られていたから。大丈夫だと、安心しきっていたの。


ルートさんだと思った、長いこと戦場にいるから私を心配させないようにと、あの厳しい上司の目を盗んで送ってくださった、ルートさんの使いだと。

だってあの人たちは、英語もロシア語も使わなかった、流暢なドイツ語でしゃべったのよ。

だから私は、何も疑わずにあの人たちの元へいった。


罠だとも、知らずに。


「ごめんなさい、ルートさん、ルート」

「どうしてお前が謝る?悪いのはお前じゃないだろう」

「なら、どうして…」

「お前を、俺なしじゃいられないようにするためだ。俺なしじゃ生きていけないように、俺だけを欲するように、俺だけについてくるように」


 俺が、そうなように。





おおかみと七ひきのこやぎ





かわいいかわいいこやぎは、だまされてしまったのです。

わるいわるいおおかみが、ぬすんだチョークでこえをかえ、ぬすんだこむぎこでてあしをしろくしたから。

だからこやぎは、おかあさんだとおもってドアをあけてしまいました。

そして、おおかみにたべられてしまったのです。


First nameも、食べられてしまうのは嫌でしょう?

だったらちゃんと、私やドイツの言うことをよく聞くんですよ。

わかりましたか?


 言いつけを破ってドアを開けたのは、私だった。







『おおかみと七ひきのこやぎ』がドイツの教訓話だと聞いて
最後はお貴族様
(終戦記念…?)

081207
140311 移動