「ねえ静雄さん、池袋で有名な『喧嘩人形』って人、ご存知ですか?」

「…は?」



「お前、本気で言ってんのか?」

「え?はい。あのね、平和島静雄って、静雄さんと同じ名前の人でね、自動販売機とかコンビニのゴミ箱とか持ち上げて投げちゃうんですって!」

「…なあなまえ」

「なんですか?」

「お前、ダラーズって知ってるか?」

「はい、知ってますよ。カラーギャングですよね。あれ、でも透明なんだっけ…?よく知らないけど少し怖いです」

「じゃあ黄巾賊は?」

「黄色のカラーギャングです!怖いです!」

「じゃあノミ蟲…折原臨也は?」

「あ、知ってます。静雄さんの嫌いな人ですよね!」

「それだけか?」

「それだけですよ」

「…セルティ…首無しライダーのことは知ってるよな?」

「もちろんです!セルティは友達ですし!……それで静雄さん、喧嘩人形さんのことはご存知ですか?」

「(ご存知も何も、俺だっつーの!)」

「静雄さん?」

「あ、いや、知らないこともねぇ…が、いいかなまえ。折原臨也にだけは絶対に近づくなよ、いいな?」

「え、あ、は、はい!」

「よし、いい返事だ。じゃあお前はもう寝ろ。明日も早いんだろ?」

「早いです!おやすみなさい!」

「おう、おやすみ」


 アイツ、俺が暴力振るうとこ見たことなかったっけ。つーか、バーテン服着てサングラスで金髪で長身の平和島静雄が、もう一人いるとでも思ってんのか、アイツは。どんだけ頭弱いんだ。

 …いや、俺がそんな奴じゃないって、思ってるだけなんだろうな。なんだろう、この、嬉しいような虚しいような気持ちは。



「と、まあそういうわけなんだ…どうすればいいと思う、セルティ」

[それは…またなんとも厄介なことだな。というかなまえは本当に静雄だと知らなかったのか]

「なんだセルティ、知ってたのか?」

[まあ、確信があったわけじゃないけど、会話してる時に、違和感は…あったかな]

「なんだか随分面白そうなことになってるね、静雄」

「黙れ」

「ごめんなさい」







ヒロイン設定はなんらかの形で引き継ぎたい

110815