※暴力とか色々注意。嫌われ。夢主すごく口悪い。





 毎日毎日、嫌がらせされて、暴力振るわれて、虐められての繰り返し。誰も信じてくれない。誰も助けてくれない。このままじゃ私、死んじゃう。そんなのやだ。まだ生きてたい。楽しく生きたい。その為には…


「ほんとー、マジいつになったらマネやめるわけ?みんなも姫華も迷惑してんですけどー」

「………」

「まただんまりぃ?生まれてきてごめんなさいくらい言えよ」

「………」

「言わないんなら、またドリンク被って殴られんの手伝ってあげようか?姫華がちょーっと泣けばみんな来て、あんたなんかすぐ殺してくれるしぃ。ほーんと、便利なナイト様だよねぇ」


 安城姫華、諸悪の根源。社会のクズ。頭の軽いバカ女。化粧臭いブス。ああ、汚い言葉を並べてしまったことをお許しください。全国の善良な安城姫華さんにも心からのお詫びを申し上げます。とにかくこのクズに私は嵌められた。私はただテニスが好きでマネージャーやってただけなのに、いきなり勘違い女だとかなんとか言ってきて、さっき言ったみたいに自分でドリンク被って悲鳴あげて私のせいにした。このクズが。

 これまではやっぱりテニスが好きだし、私を信じてくれなくても今まで一緒にやってきた仲間だったから我慢してたけど、もう無理。もういらないです。私は貴方たちを捨てます。復讐っていうか、反撃?開始です。


「ちょっと、なんとか言いなさいよぉ」

「うるっせェな、黙れ」

「…は?あんた誰に向かって口きいてんの」

「黙れっつってんダロ聞こえねぇのか」

「なに、生意気。いいもん、あんたなんかやられちゃえばいいのよ!」

「なんだよ、またドリンク被る気か?やめてくんねェ、作り直すの面倒なんだけど。つぅか芸がねーな、もうそれ飽きたんだけど?資源の無駄遣いやめてくれませんかー」

「っ、っ!後悔させてやる!き、キャアアアアアアア!!!」

「うるせェ」


 またドリンクを被りやがった安城のせいで、追加でドリンクを作る。これだからクソコネ小金持ちはよ。こっちゃ貧しい特待生だっつーの。こんなことになるなら、もっとランク落として学校決めればよかった。お前みたいな金だけのバカのために偏差値上げてやってんだから、ちったぁ感謝しろクズ。

 なんてマイペースに考えてると、扉の方からドタドタと足音が聞こえてくる。うるせェ。そんでもって美しくない。つかこんなクズにかまけてる時間があったら練習しろよクズ。そんなんだから青学に負けんだよ。アンタらのテニスにかける想いってそんなもんだったわけ?アーヤダヤダ幻滅しちゃう。


「姫華!」

「どうした、大丈夫か!?」

「あ、あのねぇ、鈴ちゃんがまた、ドリンクかけてきてぇ、消えろってぇ…」


 あー、まあ確かに消えてほしいよ。そこはね、本当に消えてほしい。でもね、かけてないし言ってないし、身に覚えのないことで暴力振るわれんのも、もう私は嫌なわけ。


「なんだと…テメェ、またやったのか!」

「やってねェようるせェな、そんな暇あったら洗濯物干してるっつーの」

「お前、誰にそんな口のきき方してんだよ」

「ハァ?アンタそんなに偉い人だったっけ?てかアンタら相手に丁寧語使う意味が見出だせねーわ」

「…体に覚えさせんと分からんようやな」

「やーだ、暴力反対。そんなことよりも物的証拠で解決しようぜ。アンタらも気にしてただろ、盗難事件。榊先生に相談したら防犯カメラ点けてくださったんだ」

「なんだ?俺様は聞いてないぜ」

「あったり前だろ、誰が犯人か分かんないから点けたんだぜ?どっかから漏れたらやんなくなんじゃねーか。文句なら榊先生に言いな」


 話をこっちのペースに持ってって、部室の外に向かって歩きだす。バカ女が後ろで喚いているが知ったこっちゃねェ。先程荒々しく開かれた扉を優しく開けてやると、そこには榊先生がいらっしゃった。みんなが狼狽える中、少し早足で部室の中央まで進むと、未だ扉を開けたままの私に向かって言った。


「部室のプロジェクターに映像を繋がせた。リモコンを貸しなさい」

「はい」


 リモコンを受け取ると、その映像を見るための操作を始める榊先生。私はスクリーンを下げたあと部室の明かりを消した。あー、楽しみ。

 五秒程の砂嵐のあとに、監視カメラにしては鮮明な映像が映し出される。


『ほんとー、マジいつになったらマネやめるわけ?みんなも姫華も迷惑してんですけどー』


 これは先ほどのバカ女の自作自演乙場面の冒頭じゃないか。はて、私はてっきりバカ女が部員のロッカーから私物を盗んでいる場面が映し出されるものだと…おやおや意図せず説明口調になってしまったな。そんでもってネタバレ?まぁいいか。これはこれで面白い。

 ソファに座る榊先生をちらと見るとかすかに微笑まれた。室内は暗いけどスクリーンがばかでかいから、顔がよく見える。盗難は別として、こんなもの映像で残せば部の損失になるだろうに。いい先生だなあ。なんでこんないい先生の元に集う生徒がこんなバカなんだ。悔やまれる。

 私の反撃。切れたバカ女がドリンクを自ら被り叫ぶ。うるせェ。駆けつけるバカ共。榊先生が部室に入ってきて、そこで一旦途切れ、すぐに映像が切り替わる。当初の予想通りにバカ女が部員のロッカーから私物を盗んでいる場面。それが終わるとどんどんと切り替わっていく。バカ女が私を罵倒する場面。私が黙々とドリンクを作ったりタオルを畳んだり掃除をする場面。部員が私に暴力を振るう場面。ああそうそうこれこれ、性的ないたずらされそうになったこともあったっけ。殴って逃げたけど。いやあ、これは立派な犯罪だね!ちゃんとした証拠になるね!裁判で勝てるね!

 その後もいくつか、バカ共にとっては目を覆いたくなる真実が映し出されて、静かに映像は終わった。榊先生がプロジェクターの電源を落としたので電気をつける。少し眩しい。バカ女は体操座りで小さく蹲っていた。おい下着見えんぞ汚い。ここ土足だから本当に汚い。


「お前たち、これが真実だ。身に覚えのある者もいるだろう。お前たちのしたことは犯罪だ。分かっているのか」


 ビクリ、とバカ共の肩が跳ねる。まあねえ、跡部なんかはこんなことしちゃっても、お金の力でもみ消せるだろうけどねえ、勘当くらいはされちゃうのかな?それとも跡取り息子を庇うのかねえ。どうだっていいや。

 榊先生が私に近づいてきた。なんだろう。これで無かったことに…とか、賄賂渡されんのかな。なんかもう先生の立場とか考えると仕方ないし、そういう幕引きでもいいけど。いやでも先生から受け取るよりも普通にバカ共から慰謝料貰いたい。がっぽり貰いたい。


「被害者は君だ。君が納得の行く処分を下しなさい」


 ええー、マジかよ。いいの先生それで、いいの?主力部員ほとんど消えるよ?いいの?


「お言葉ですが、本当に、よろしいのですか?」

「因果応報という言葉があるだろう」

「そうですか。それじゃあ…」


 GOサインが出たようだ。一息つく。固唾を飲んで見守られる。どうしようかなあ。一応、バカ女が来るまでの2年ちょい、いい仲間同士だったしなあ。


「取り敢えず、映像を元に安城さんは脅迫罪で親告します。お金で解決したければ、お家の方と第三者を交えてお話ししましょうね」


 にっこりと笑って言った。私としてはお金で解決したいなあ!バカ女はぐすぐす泣き出した。泣くくらいなら最初からやるんじゃねーようるせェ。

 耳障りな鳴き声をBGMに部員の顔を一人一人眺める。なっさけない顔。美形の顔が歪んでるのって愉快極まりないね!写真とってファンに見せてあげたい。幻滅するかな?それでも好きでいてくれるといいね。犯罪者だけどね。


「みんなとは…安城さんが来るまでは、仲も良くって、私たち…仲間だったよね」


 それまでの暗く歪んだ顔からは一転、ぱっと明るくなる顔。ん?どうした?まだ許すとか一言も言ってないけど?

 でもまあ、事実、そう。私たちは本当、バカ女が来るまではちゃんといい仲間だったのだ。だからある意味こいつらも、被害者だったんじゃないかって。


「色んなことがあったよね。辛いこともあったけど、とても…とても楽しかった記憶も、いっぱいある。こんなことになってから私、他愛もないことが幸せなんだって気づいたよ」


 幸せだった。少なくとも私は、毎日が楽しくって仕方がなかった。もう二度と戻ってこないあの日々が愛しい。一緒に笑いあった仲間たち。確かに私はみんなが、大好きだったのに。


「こんな大切なことを気づかせてくれてありがとう!あんなに酷い仕打ちを乗り越えられて、こうやって復讐までちゃんとできるっていう貴重な経験ができたのは、みんなのおかげ。お礼に私からのプレゼント。今度はみんなが、逮捕っていう貴重な経験をする番だよ!傷害罪、又は暴行罪で親告するから」


 まあ切り捨てるけどね?それはそれ、これはこれ。大体、許すわけないじゃんね。私こいつらに数え切れないくらい罵倒されたり殴られたりしてるんですけど?ちなみにちゃんと医療診断書はその都度貰ってありますから。かかりつけのお医者さんで赤ちゃんの頃から知ってるから、大怪我して来た私を見て血相を変えて事情を聞かれて、ありのまま話したらお安く書いてもらえたよ。映像と合わせれば十分な証拠だよね!やったね!


「ああ、2年以下で誕生日まだの子もいたね。残念、少年院どまりかあ。ま、それでも貴重な経験だよね。逆に今しかできない、みたいな?よかったね、素敵な社会勉強じゃない。あ、お金で解決する?そうだよねえ、経歴に傷がついちゃうもんね?困るよねえ、特に跡部くんや忍足くんは!パパにも迷惑かかるもんねえ!まっ、私は体にも心にも深いふかぁい傷を負ったわけですけれど?寛大な私はお金の力でも許してあげちゃうよ。傷害罪で親告される人は最低100万、その他は最低60万ね。罰金なら半額で済むし、そっちが良ければそれでどうぞ?私はなんだっていいのよ?どっちにしたって慰謝料として払ってもらうしね!もしかしたらそっちの方がお高くついちゃうかも知れないけど、まあお家の人と相談して好きな方を選んで?何もアクションがなければ、明日の17時に警察に行くから。じゃあ榊先生、お疲れ様でした。お先に失礼します」

「ああ、最近は物騒だから、私が送って行こう」

「本当ですか?ありがとうございます!じゃあみんな、よぅく考えてきてね?あ、安城さん、あなたもたまにはマネージャーらしく、そこの床、そうあなたがドリンクぶちまけたところ。乾いてカピカピしてるから、水拭きで掃除しといてね。それくらいやっても罰は当たんないんじゃない?掃除用具入れどれか分かる?間違えて部員のロッカー開けたりしないようにねえ!あははははは!」







全国の善良な安城姫華さんどうもすみませんでした。
でもちょう楽しかった…マシンガントーク部分ちょう楽しかった…こういう復讐夢もあっていいと思うんです。犯罪ですから逮捕で終わらせましょう。
部員のほとんどはお金で解決するんでしょうね。ぼんぼんの学校だし。跡部、忍足は都合上名前とか出しちゃったんであれですけど、別にレギュラー全員とは書いてないんでごにょごにょ。準レギュとかもいるんじゃないですか。少なくとも2年を名指ししなかったんで、レギュラーの2年生はいないと思ってください!あんな天使たちがそんな酷いことするなんてそんなそれはそれでありですけど。

このあと1年交際して太郎と結婚します。

140304



↓叱咤お願いします