隣の席の南沢くん。内申が好きで授業中によく発言する。だから私もとばっちりでよく当てられる。勉強は嫌いじゃないから大丈夫だけど、少し面倒。

　隣の席の南沢くん。友達が多くて休み時間はいつも席の周りに人が集まる。だから私は休み時間は図書室にいる。本読む場所が教室から変わっただけだし、まあ問題ない。

　隣の席の南沢くん。サッカー部のエースストライカー。らしいけど、生憎と私はサッカーにこれっぽっちも興味がないので凄いとか凄くないとかよく分からない。手を使ったらいけないんだよね、程度だ。どっちかっていうとバスケの方が好きだし。バスケもルールよく知らないけど、月山国光の井吹くんがかっこいいから。

　隣の席の南沢くん。サッカー部を辞めたらしい。あんなに内申が好きだったのに、三年間続けることに意味があるのに。帰宅部の私には縁遠い話で関係ないけど。さらに言えば当日点派の私には内申もあまり関係ない。

　隣の席の南沢くん。なんかいきなり転校した。井吹くんのいる月山国光らしいけど、基本的に周りに興味のない私にはどこにあるどんな学校なのか分からない。別に分からなくてもいいけど、月山っていうからには山形とかかな。遠いなあ。



　隣の席は空っぽ。相変わらず先生はよく私を当てる。特に誰も手を挙げないとき。嫌がらせですか。

　隣の席は空っぽ。席の周りに人が集まることはなくなったけど、私は図書室で本を読む。ぱっと手に届く距離に本があることに味をしめんだと思う。

　隣の席は空っぽ。なんかサッカー部が騒がしい。前から思ってたけど部室棟とか、サッカー部贔屓しすぎじゃないか。関係ないしどうでもいいけど。ああやだ、うるさい。

　隣の席は空っぽ。ちょっと気になって先生に、内申はどうか聞いてみた。大体のところなら推薦出せるらしい。ほらね、中学生なんてそんなもんだよ。少し真面目にしとけばいいだけなのにさ。

　隣の席は空っぽ。明日もきっと空っぽ。

　今考えれば私は南沢くんに興味があったのかな、なんてね。

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テレビで月山国光戦を見るとこを書こうと思ったけど、このヒロインはHRの中継なんか見そうにないので没。
修正にあたり、せっかくなのでギャラクシー要素を少し入れてみました。同じ学校というミラクルもありましたし。

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