うちの本丸日記

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うちの本丸は今日も平和です。
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(2017/12/05 現在)
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-- 08/08 (火)

一期「あの……」
主「………………」
一期「主……」
主「………………」
一期「頭を上げてください……」
主「………………無理です……」
一期「……薬研……」
薬研「はぁ、仕方のねえ人だな、大将もいち兄も」
一期「わ、私もかい?」
薬研「いち兄もだよ。なんだその距離」
一期「主は私の顔が苦手でいらっしゃるからね。このくらい距離を開ければご気分を害されることはないだろうと」
薬研「それじゃ労われるもんも労われんだろうに。こういうのに関しちゃ荒療治が一番だ。遠巻きにしてても何も変わらないのはこの二年半で学んだろう」
一期「……私は顕現が遅かったからまだ一年半くらいだよ」
薬研「威張って言うことか」
一期「私とはまだ、一年ちょっとの付き合いだから、……無理強いはさせられんよ」
薬研「……本当に仕方のない人だよ、まったく。ほらいち兄、もっと大将に近寄りな」
主「ひえっ」
一期「……」
薬研「大将!」
主「ひええ……」
一期「薬研! 主に対してなんという口の利き方を!」
主「い、一期さん、薬研くんは悪くないです、圧倒的に私が悪いです!」
薬研「そうだ、悪いのは大将の往生際だ!」
一期「薬研!」
主「わああ違うんです違うんです! 薬研くんは口が悪いだけなんです! ごめんなさい一期さん、毛利くんお迎えできませんでした!」
一期「そんな、薬研が……! ……ん?」
薬研「そうなんだ、我らが大将にドロップ運がないことはいち兄も知っての通りだろ。頑張ったんだけどな、今回は諦めてくれや」
一期「え、ああ、はい、確定報酬でない時点でそうだろうなとは思っていましたので……顔を上げてください。なんだ、そのことでのその体勢でしたか」
主「いやもう、申し訳なくて……」
一期「そんな、主が私に罪悪感を感じられることはありませんよ」
主「でも、兄弟に会えないって、とても寂しくてつらいことですから……」
一期「主……」
薬研「…………まあ、今回の毛利は別の機会を待つとして、だな。何人か兄弟が修行に行くから、その報告だ」
一期「えっ」
主「厚くんと鯰尾くんは行きたいって言ってて、平野くんと前田くんには打診してます。後藤くん、信濃くん、包丁くんはまだ行けないと。薬研くんは……」
薬研「俺っちはいいさ」
主「行っといでよ〜」
薬研「4日も空けられん」
主「とまあこのように頑固です」
一期「なるほど、そういうことですか。平野と前田には私からも勧めてみましょう。行ってみたいとは申していましたので」
薬研「そうしてやってくれ」
一期「薬研」
薬研「ん?」
一期「お前も行きたいなら行きなさい」
薬研「……いや、俺っちは」
一期「主の身体のことは、それはお前が一番よく知っているのだろう。心配になるのも分かる。けれどね、お前がそうして強くなる機会を逃してしまうことに、主が負い目を感じてしまうと考えたことはないか?」
薬研「!」
主「えっ」
一期「主はどんな時でも我らの意志を汲んでくださる。それが例えただの我儘だったとしてもだ。それに甘えることも臣下の務めではあるよ。けれどね、主に負い目を感じさせてしまうのは、違うと思わないか」
主「え、いやあの、私別に……」
薬研「……大将。俺は、あんたが心配なんだ。あんたが俺の目の届かないところで、燭台切や歌仙の作ったものでない飯を口にしている時、気が気でないほど心配で何も手につかなくなる」
主「そんなに心配をかけていたとは……」
薬研「これは、迷惑か? 大将は俺に負い目を感じているのか?」
主「え、いやいや。まず心配してくれるのは嬉しいよ。でも私もある程度は自衛できるし、時々無謀なチャレンジ精神で食べて具合悪くなってるけど、一人の時は絶対やらないようにしてるし。そんな何も手につかなくなるほど心配しなくても、薬研くんの知らないところで死んだりしないよ。だから心配のレベルは下げても大丈夫、なように気をつけてるから」
薬研「……ああ」
主「それと、私も、薬研くんが行きたいと思うなら行ってほしい」
薬研「……」
主「無理強いはしないよ。だって行かないって決めたのも薬研くんの意志だから。最終的には薬研くんが決めることだって、私は思ってるからね。でも、私のことが心配で行かないっていうのは、それはまあ、薬研くんたちは一応私の部下、みたいな存在だからね、ある意味正しいとは思うんだけど、……もったいないなって、思うよ。心配してくれるのは嬉しい、大事に思ってくれるのも嬉しい。けど、自分のことも大切にしてほしいって思うから」
薬研「……自分のことを、大切に」
主「そう。自分の欲求に素直になるって、とても大切だよ。生き物って欲の塊だからね」
薬研「欲……」
主「というわけで、薬研くんはもう少しじっくりと自分と向き合ってみてよ。骨喰くんが言ってたけどね、修行って己の内面と向き合う時間なんじゃないかって」
薬研「骨喰兄が……」
主「私、それって、私の刀剣になる前の己と、だと解釈したのね。つまり、付喪神になる前の刀剣としての己なのかなって。薬研くんは、修行に行くか行かないかをさ、私の刀剣としての己と、向きあってみてよ。そうして答えを出して、ね」
薬研「…………ああ、大将には、なんだかんだ敵わねえなあ」
主「なんだかんだは余計!」



一期「(己と、向きあう。……主も己と向き合い、なんとか克服なさろうとしているのだろう。それは、理解している。理解しているのだが、やはり、遣る瀬無さと罪悪感が勝る)」

一期「主」
主「は、はい」
一期「恐怖は、乗り越えるべきでない場合もあります」
主「え?」
一期「逃げることも手なのですよ。短期間で変わるには、劇的な何かが必要ですから。長い、長い時間をかけなくては、いけないものなのですから」
主「…………私、一期さんのこと、好きですよ。苦手と嫌いは、別物です。私、一期さんのこと好きです。大切です。だから、だから……待ってほしい、というのは、……わがままですよね」
一期「……あなたの歩幅で歩み寄ってください。これまで通りでいいのです。少しずつでも、私たちの距離は縮まっている。違いますか?」
主「違いませんけど、……でも、私は」
一期「弟たちが修行に出るということは、またお帰りなさいぱーてーがありますな」
主「え、あ、はい、やります」
一期「その時に酌をして頂けると、私はとても喜びます」
主「……では、一期さんを喜ばせます」
一期「はい、楽しみにしています」
主「……皆さん、優しくしすぎ、甘やかしすぎ」
一期「ははは、それは主ご自身もでしょうに」



主「お酌ってそんなに嬉しいものなのかな」

日記
薬研くんと極の話 feat. 一期さん
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