「安定は、沖田さんが一番だものね」

 困ったように笑う君を見てると、僕は無性に苛つく。

「私のことは、無理に主と思わなくてもいいから」

 物分かりよくその顔で言う君を見てると、一瞬斬り伏せたいような衝動が走る。
 僕は清光みたいに、愛してくれれば誰でもいいってわけじゃない。自分が主と認める人でないと。
 だって彼女は僕を振るわない。扱いにくい僕を、好んで手ずから扱ってくれる人じゃない。

 でも僕のことを一番に愛してくれたら、僕だって君を一番に思うのにな。大勢の中の一振りだとしても、引け目なく僕を愛してくれたなら。僕だって君を一番に愛するのになあ。

「(なんて、愛される努力をしない僕が、愛してもらえるなんて。そんなこと…)」

 ああ、嫌だなあ。刀なんて、使いやすいのが一番じゃん。