「ふんふふふーんふんふふんふんふんふんふんふんふふーん」

「…御子柴さん、えらくご機嫌ですね」

「ほんと、琴音先輩いいことあったの?」

「へへ、まあねーん♪あったっていうか、これからあるんだけどさ」

「へえ、なになに?聞いてもいい?」

「もっちろん!聞いてくれるかな、一十木くん!」

「聞かせてください、御子柴さん!」

「何をやっているんですか…」

「ノリよノリ!ていうかね、聞いて!今日このあと、お食事に行くの!イケメンと!」

「えー!?だれだれ、俺の知ってる人!?」

「多分二人とも知らないと思うよー。一般人だしね」

「この業界にいて目が肥えている御子柴さんが言うくらいですから、お相手の方は余程かっこいいんですね」

「うん、もうすっごくかっこよくてあたし好みなの!是非射止めたい!」

「そんなに本気なんだ?」

「真剣なお付き合いを経て婚約、ファイナルライブで『普通の女の子に戻ります!』と宣言してマイクを置いてステージから走り去って引退、そして結婚……どう?」

「うわ、ロマンチック!」

「でしょでしょ?」

「お相手の方はどんな方なんですか?」

「えーっと、年齢は24歳で、大手ゲームメーカーの営業さんしてるの。スーツが似合っててかっこいいのよ〜」

「サラリーマンですか。まあ安定職ではありますね」

「……あ、ゲームメーカーってもしかして、前に先輩が出たゲームで!?」

「ああ、あの朝倉風斗とのW主演のゲームですか」

「そう、鋭いね〜。実は出演のオファーが来た時、スケジュール的にキツくてお断りしようかって話してたの。でもその人を見たら即OK出しちゃった。一目惚れよ」

「上手くいくといいね!」

「ですが性格などはどうなんです?いくら外見がよくても中身がダメなら続きませんよ」

「大丈夫、中身もちゃんと素敵!」

「根拠は?」

「トキヤ厳しい」

「ええ…そんなこと言われても…」

「ないんですか?それなら私は反対です」

「トキヤ過保護」

「そんな!あ、あーえーっと、そうだ!琉生くん分かる?美容師の」

「分かる!俺この前の撮影の時切ってもらったよ」

「私も知ってます。朝日奈さんとは前の事務所でも何度かお世話になりましたから」

「琉生くんとね、その…ゲーム会社のイケメン営業、棗さん。棗さんとね、苗字が同じだなーって思って。あと目が似てるの。それで、琉生くんに聞いてみたのよ。ゲーム会社に勤めてるお兄さんいる?って。そしたらビンゴだったってわけ」

「なるほど、朝日奈さんのご兄弟の方ならば……」

「琉生さんいい人だよね」

「いえ、朝日奈さんは朝倉風斗とも兄弟でしたよね」

「えっ、そうなんだ」

「あー、トキヤくんは知ってたか」

「もちろんです」

「トキヤの前の事務所だもんね」

「朝日奈さんはいい人ですが、朝倉風斗は性格がいいとは言えませんよ」

「いやでも、朝倉くんいい子だよ?」

「御子柴さんに対しては、ね」

「俺なんか嫌われてるみたいなんだよね」

「ああ、音也くんって朝倉くんの苦手なタイプっぽい」

「えー!」

「で、朝日奈さんと朝倉風斗と、プラスマイナスゼロになりましたが?」

「トキヤお父さんみたい」

「誰がお父さんですか」

「そんなこと言われても…棗さんは本当にいい人なんだって!善良な市民なの!」

「判断材料が少ないため納得できかねます」

「トキヤめんどくさい」

「何とでも言いなさい。御子柴さんをそこらの適当な男にくれてやるわけにはいきません」

「昔は琴音ちゃん琴音ちゃんって後をついてきて可愛かったのに…あの頃はまだぷくぷくしてもが」

「御子柴さん、そのことは、口外しない約束です」

「んーっ、んー!わ、分かったから!ごめんって!」

「分かればいいんです…」

「とにかく、棗さんはほんといい人でイケメンだから!」

「…まあ、泣き寝入りするくらいなら慰めてあげますから、遠慮せずにきてください」

「しないよ!」

「ねえねえ琴音先輩、トキヤってある意味ツンデレなのかな」

「そうだね、ツンと同じテンションでデレてくるけど」

「そこ、聞こえてますよ!」







冒頭の鼻歌はAFFECTIONSです。女にはーわーからなーいー
最初ヒロイン作曲家にしようと思ったんですけど、引退の話が書きたくて。HAYATO様の事務所ってなんか情報ありましたっけ?風斗と同じだとクロスオーバー要素増して面白いかなと思ったんですけど。