能力
※この話はBLの表現が出てきます。苦手な方、地雷の方は閲覧をせず、自己防衛をしてくださいますようお願い申し上げます。責任は一切負えませんのであしからず。
テーマは雑なBLです。
ある日の昼休憩中。
食事もそれぞれ終わりまったりと腹ごなしをしていた時、ふと秋山が思い出したように岩戸に話しかけてきた。
「そういえば、岩戸さんってストレインとしての能力ありましたよね?」
「あぁ、はい。ありますよ。一応……。」
その会話が聞こえて驚いたように弁財が話しに加わった。
「そうだったのか?でも使っているところを見たことがないな。」
「使っていませんからねぇ〜。」
「どういった能力なんですか?」
二人に教えようとしたところにさらに話しに加わったのは日高と道明寺だ。
「その話し俺も知りたいッス!」
「俺もー!」
「あー…んー…実際に見てもらった方が早いかな…。じゃあ室長室に行きましょうか!」
移動を開始しようとした5人の前で宗像室長が伏見を見つけ、声をかけていた。
「伏見君、今少し良いですか?」
「チッ…はい。」
ガタリと椅子から立ち上がった伏見を連れ、先を歩く二人。
有の能力を見せると言われていたのになぜ室長室へ向かうのか、なぜ室長と伏見のあとをわざわざついていくのか分からずに有と共にコソコソあとをついて行く4人。
室長室のプレートが見え、部屋の前の廊下まで来ると突然グイッと伏見の腕を引いて室長がよろけさせた。
バランスを崩した伏見をよろけさせた本人である室長が正面から支え、顔をあげた伏見と室長はあとわずか数pでぶつかるという距離で見つめ合い二人の唇はそのまま重なった─────……‥
「は…?ウッソだろ……?室長と伏見さんってホモだったのか…?!」
「えっ!?ど、どういう…!?」
狼狽える道明寺と日高。
自身の上司たちが職場でキスをしていた、という状況に頭がついていっていない。
それは秋山と弁財にも言えることだった。
思いがけない現場に遭遇した者たちはその場から動けずにいた。
ただただこの現場を見ていた事が伏見にバレれば半殺しではすまないのでは…?ならば騒ぐのは得策では無い、と口をつぐんだ結果である。
しかし二人の努力は虚しく、道明寺と日高がパニックになり騒ぐ声は段々とヒートアップしていった。
「廊下でギャーギャーうるっせーんだよ!!仕事しろ!!」
突然室長室と書かれたプレートの部屋から伏見が飛び出してきた。
そのことにより状況は更に悪化。
「「ギャーー!!!」」
お互いを抱き合い悲鳴をあげた道明寺と日高に眉間のシワを深くする伏見。
その後ろからひょっこりと顔を出したのは宗像室長だった。
「おやおや、皆さんお揃いでどうしたんですか?今は昼休憩中だと思いますが?」
「お騒がせしてすいません。私の能力が見たいという話しになったので手っ取り早く“見せました”。」
「ほう…そうでしたか。休憩時間ももうすぐ終わりますし、はしゃぎすぎには気をつけて下さいね。」
「はい。」
宗像室長と岩戸の会話を黙って聞いていた秋山と弁財はピンときた。
「す、すいません!!」
「申し訳ありません…」
この謝罪には色々な意味が込められていただろうが、その意味に気付いていたのは本人たちと岩戸のみであろう。
そんな中、爆弾を落としたのは伏見である。
「で、有お前何を“見せた”んだ?」
不味い…!と思った秋山が岩戸を止める前に岩戸の口は開かれた。
「何って…さっちゃんと室長の熱烈なキスシーンだけど?私の能力って単純なタイプほどドハマりするやつだから道明寺さんと日高さんの反応は予想通りだったね。秋山さんと弁財さんの顔も目が落ちちゃいそうな位開いてて心配になっちゃったよ〜。」
あははと朗らかに笑う岩戸とは裏腹に伏見の機嫌は急降下を迎え、静かにその糸はキレた。
……ブチッ
「伏見緊急抜刀ォ!!!」
鬼の形相で腰のサーベルを抜き、高笑いをする岩戸を追い始めた伏見。
状況を呑み込んだ秋山と弁財は未だ混乱中の道明寺と日高を止め、これ以上伏見の火に油を注がないように落ち着かせる所からか、と肩を落とした。
元はと言えば自分たちの迂闊な話が始まりである。
少しばかり胃を痛めたABコンビは尻拭いをすることに…。
「ふむ、私と伏見君のキスシーンですか…流石の私も部下に手を出すなんて…まして廊下でなんてしませんよ。」
この発言を聞いた道明寺と日高はやっと静まった。
「「つまり…?」」
「岩戸君の能力は“対象者に想像したものを見せる”という力なのです。それを貴方がたに見せたのでしょう。…まさかとは思いますが、私と伏見君がだなんて信じてはいないでしょう?」
急に廊下の温度が下がったように感じた4人は背筋を伸ばして声を揃えて答えた。
「「「「はいっ!もちろん!」」」」
「では、宜しい。午後の仕事に取り掛かって下さい。」
4人に背を向け室長室へ宗像が戻ったことにより一気に脱力した。
そのまま重い足取りで戻ることに。
「俺、今日のこと夢にみそう…」
「俺もッス…」
「早めに忘れた方が自分のためだぞ2人とも…」
「岩戸さんも人が悪い…何も自分たちの上司であんなモノを見せなくても……」
肩を落として自分たちのパソコンの前に戻った4人に淡島は訝しげな目を向けて声をかけた。
「貴方たち随分と疲れているようだけど…大丈夫なの…?」
「あ…いえ、お気になさらず…」
「問題ありません…」
「俺こんなに仕事したいと思ったのハジメテ…」
「少しでも考えないようにしたい…」
遠くからは窓ガラスの割れる音が響き、眉間にシワをよせた淡島が唸るように
「伏見…一体何をしているの…!」
と怒りを燃やし始めたが、4人が腰を折って頭を下げて叫んだ。
「「「「どうか伏見さんを責めないで下さい!」」」」
その勢いに驚いた淡島も理由を聞こうとしたが、4人の誰とも目が合うことは無く、顔を手で覆って「伏見さんがかわいそう…」やら「岩戸さん…」と呟くだけで聴取は困難となった。
─後日─
A(ということがあって…)
C(あー…それであの日伏見さんの機嫌がとんでもなく悪くなって岩戸さんもたんこぶ作ってたのか…)
F(岩戸さんの力も上手く使えば通信伝達とかにも使えそうだが…)
G(本人はそうやって使う気無さそうだね。)
E(伏見さんかわいそう…。というか、岩戸さんの力で敵を撹乱とか出来そうだし汎用性高くないですか?なんかそういう漫画とかありましたよね?)
そこへひょっこり顔を出した岩戸。
I(簡単に言うと私の能力のイメージはマガジンの某奪還屋の邪眼です!)
A(某で伏せたなら◯眼も出版元も伏せて下さい!口も閉じていただいて宜しいでしょうか!?)
I(あっはっは!トラウマになってますねー!ごめんなさーい!)
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