Againの続き。そっちを読んでからの方がいいです。 いきなり始まります、どうぞ。 「自分でもよく状況分かってないですけど、でも、私は “ボーダーの迅さん” に拾われてお世話になってます。恩を仇で返す気はさらさらありません」 しっかりとした言葉で返せば、城戸はならば、と言葉を発する。 《目の前の敵を排除したまえ、くまだ隊員》 「了解」 ぎゅっと槍を構え、くまーー!!と出水は戦闘準備を整えるが、コツコツとさらに足音が増えた。 「おいおい…まじかよ」 出水は冷や汗を流しながら歩いてきた人物を見やる。 「…湊」 「くまーー!!…なんで?」 悲しそうに目を伏せ、湊は聞く。 「恩がある。ボーダーは今の私の大事な居場所だから」 「そっかーでも、僕らもハイレインさんに恩があるからなー…。どーする?湊君」 「つれて帰る」 「そうだね。じゃあ、頑張ろっか!」 にこにこしながら綾時はこちらを見据え、湊は腰の片手剣に手を掛け、鞘から抜き、さらに、空いてる左手で銃をホルダーから抜く。 その光景を見たくまーー!!は叫ぶ。 「っ!出水さん下がって!」 「ヤバイのか?」 「全力でヤバい!」 叫びながらくまーー!!も“同じ”銃を取り出す。 そして、両者が両者とも相手に構えるのでは無く、自分の米神に当て、引き金を引こうとしているのを見て出水は呆然とする。 「おいっ!何して、」 「「ペルソナ!」」 叫ぶと同時にガウンッと引き金を引いて、両者の背後に浮かび上がったモノをモニター越しに見た本部と出水は恐怖を感じていた。 「おいおい…イカれてんじゃねーの…?」 《…!?》 《なんだ…あれは…っ!》 《おいっ!どーなっとるんだね!》 《ば、化け物…》 くまだは体から猫のような化け物を生み出し、湊と呼ばれた青年は、8個の棺桶を鎖で繋いで背負い、剣を持った白い仮面の死神のようなイキモノを生み出す。 しまいには、後ろにいた綾時と呼ばれた青年は自分自身を白い仮面の化け物に変えていた。 ソレを見たものは、顔を青ざめさせた。 「うわー…湊、容赦ないね。いきなり“タナトス”か…。しかも綾時は“デス”だしー…」 「こうでもしないと、連れて帰れない」 「うーん…。誉め言葉としてもらっとくよくまーー!!ちゃん」 《おい、弾バカ。そっちどーなってんだよ》 《出来ればいずみん先輩戻ってこれない?》 「!こっちは今、それどころじゃ、」 「出水さん戻ってください。ペルソナは私じゃないと無理なんで」 「…。後で説明しろよ」 「分かりました」 《俺らにもな》 「はい」 背を向けて走り出した出水を庇うように一歩前に出る。 「さて、本気出して行きますかー」 「くまーー!!、お願いがある」 「なーに?」 ぼそりと話し始めた湊の言葉にくまーー!!は、にやりと悪役もビックリな顔をして笑い、建物内にもかかわらず、激しい戦闘を始めた。 本部はその一部始終を見て、裏切ったのでは?と論議をしたが、激しすぎる戦闘を見て口をつぐんだ。 出した化け物、ペルソナと言っていたが、そのペルソナから炎があがるわ、氷凄いわ、風が吹き荒れ、雷を扱い、地面や建物をえぐっていく。 《おい、くまだ!こっちを吹っ飛ばす気か!》 「あ…出水さんすいまっせーん!」 《心こもってねーな》 「…と、思うじゃん?」 《よねやん先輩の真似うまっ》 激しい戦闘をしつつもふざけ合い、どんどん攻めていく。 出水が戻ったことにより、米屋、緑川の3人を攻撃の核として、陽動しながらランバネインを追い詰め、その攻撃の包囲網から抜けようと飛び上がる。 「こういう場合は…同時に相手をしないことだな」 「!」 「飛んだ!」 「やべっ」 雨のような弾丸を降らせ、3人を散らせる。 建物の中へ窓を割って飛び込んだ緑川は、ランバネインの追撃にあっていた。 だが、相手を上手く使い足を一本斬り落とし、グラスホッパーでさらに緑川は追い込んでいく。 ランバネインは攻撃を止めさせる為に至近距離で撃ち、壁を壊して脱出、緑川も爆風の勢いで飛ぶ。 「あっぶねー。とりあえず、足1本」 「分断に成功したと思いきや、逆に誘い込まれていたわけか。1人ずつなら問題なく倒せるという認識…改める必要があるな…」 ゴッと飛び上がったランバネインを見て、米屋が叫ぶ。 「また飛びやがった!落とせ弾バカ!」 「“落としてください”だろ。誘導弾!」 ドドドドッと打ち出して追い回す。 その出水のタイミングに合わせるように、潜んでいた東、荒船も狙撃し始める。 荒船の弾がランバネインに当たり、ちょうどその時、校舎の壁から派手に吹っ飛ばされたくまーー!!が飛び出し、視線でくまーー!!と荒船を確認したランバネインは砲撃した。 「ぐっ!」 「うあ゛!」 荒船は右腕、くまーー!!は左腕をもって行かれた。 だが、すぐに体制を立て直し、互いに散る。 「だー!ちくしょう、高火力すぎでしょ!槍振り回せないし、ペルソナだせないー!」 《あの野郎…!射撃の精度を上げてきてやがる…!やっぱ下手に手は出せねーか…!》 《いや、今が攻め時だ。ガンガン押すぞ。B級各員人型を包囲しろ》 ランバネインを追い詰めるための布陣を東が敷き始める。 「ランバネイン…なんでくまーー!!を撃ったの?」 《つれて行きやすいように、だ。それに、お前たちの使うペルソナとやらは厄介だからな》 くまーー!!が吹き飛ばされた穴から湊とデスは外へ出て、くまーー!!のもとへと駆け寄る。 その瞬間、 「トリガー解除!ペルソナ!来い、チシャ猫!あのジェットゴリラに一発当ててこーい!」 腹が立った、とランバネインにキレて生身の自身とペルソナで追う。 デスから綾時に戻り、湊と綾時はたまらず足を止めてクスクスと笑う。 「じぇ、ジェットゴリラ…ww」 「さすが、くまーー!!ちゃん!そーいうとこ、ホント大好き!ねぇ、湊君。さすがにくまーー!!ちゃんのこと撃ったのはムカつくんだけど、どう?」 「行こう」 「即答だね!」 《攻撃手配置完了!弾で獲物を追い込んでくれ!》 《OK!しっかり仕留めろよ槍バカ》 《柿崎です!くまだが相手していたはずの奴らが出てきました!》 《くそっ!このタイミングでか!》 生身からもう一度片腕の無いトリオン体に戻り、部隊に告げる。 「すいません、くまだです。あの2人は放っておいて大丈夫なんで、角付きをやりましょう」 《どーいう事だ?》 「まあ、見てれば分かりますよ、東さん」 あの2人ブチ切れてるんで。と言って通信を切り、銃を持ち、ペルソナで応戦しながら攻撃手がいる地点まで皆で追い込む。 こちらの射線を切るように建物の間を低空飛行で飛び、来馬のもとへ飛び込んでゆく。 「ひっ…!」 「浮いた兵から狩っていくか」 「かかった!」 「よねやん先輩のほうか!」 建物の中から、米屋がランバネインめがけて落ちて行き、作戦は上手くいったと思ったがランバネインは体をひねり、米屋の方へ向き直る。 「なるほど」 「!!」 「こうして敵を呼び込むわけだな。よく理解できたよ」 その言葉が終わると同時に、砲撃する。 「……と、思うじゃん?」 周囲の人間でシールドを重ねることで、より強固な物にし、米屋まで砲撃がぶち当たるのを防ぐ。 「ぉおぉぉおおおおお!」 「らぁあぁあああああ!」 ガガガガッとシールドが割れる音が響き、米屋がランバネインを槍で突き刺すことにより、止んだ。 「こっちは“部隊”なんで、悪いな」 「やった!」 「っしゃ!“人型”墜としたぜ」 「……見事。よもや、この俺が5人足らずしか仕留められんとは…ヴィザ翁の言うとおり、玄界の進歩も目覚ましい」 「11対1だからな。さすがに勝てなきゃやべーだろ。悪りーな、1対1でやれなくて」 「…謝る必要はあるまい、これは戦争だからな」 ブゥンと小さな門のような黒い空間から、針のようなものが伸び、米屋に襲い掛かる。 だが、バッとその場から飛び退くことで、攻撃を回避。 いろんな可能性を視野に入れた状態で構えていた米屋には、避けることなど造作も無かった。 そして、ランバネインの背後にも大きな黒い空間があり、1人の女性が立っていた。 「!」 「さすがに1人で来てるわけねーよな」 「退却よ、ランバネイン。あなたの仕事はここまでだわ」 黒い角を頭から生やした女性はそう言って、ランバネインを空間へいざなう。 米屋は目の前の出来事に目を向けていたため、その背後に忍び寄る影には気が付かなかったようだ。 コツコツと近寄る人物たちを見たランバネインはにやりと笑い、勝機があると確信した。 「そうだね、戦争だもの。背後には注意だよ」 「…ペルソナ、オルフェウス!」 「なっ!」 「「「米屋!/先輩!」」」 「米屋さん、伏せてくださいねー」 オルフェウスと呼ばれたペルソナは飛び上がり、背負っていた竪琴を振りかぶり、“目の前にいた”米屋を越え、ランバネインへと竪琴を振り下ろす。 ドゴォッと凄まじい土煙をたて、オルフェウスは消えた。 ランバネインはとっさに防御したようだが、防ぎきれずに顔にひびが入っていた。 「がっ!」 「あ、背後じゃなくって、正面だったね!」 「…あと、裏切りにも注意しとけば?」 「相っ変わらず、キレた時の容赦の無さデスネ。湊サン」 3人でそれぞれ言いたい放題言って、空間に押し込まれたランバネインと、女性を見やる。 「…こちらを裏切るつもりかしら?ミナト、リョウジ」 「先に僕らのくまーー!!ちゃんに手を出したんだもの。当然でしょ?」 「…ハイレインも、“見つけた後は好きにしていい”って言ったし。言質は取ってる」 何の問題も無いはずだけど?と首を傾げながら言い切った湊に悪びれた様子は見当たらない。 「…!確かに隊長はそう言っていたな!」 「残念だわ。もう少し賢い子たちだと思っていたのに」 その言葉の後に、再度小さな黒い空間が湊たちを襲うが、難なく回避する。 「はっはっは!不意打ちも通じんのでは完敗だな!楽しかったぞ、玄界の戦士たち。縁があったらまた戦おう」 「あっ!逃げる!」 《待て、手を出すな。相手が退くなら今はそれでいい。深追いするな。戦果は十分だ。》 「え〜、せっかく倒したのに〜」 空間が閉じ切り、皆が集まる。 「今の門っぽいのもトリガー?」 「たぶんな」 「イエー!来馬さんナイス囮!迫真の演技!」 「…あ、はは…」 「みんなよくやった。だがまだ、終わってない。B級合同部隊は南部地区の防衛に戻るぞ。」 《了解!》 「…で、お前らは結局何者で、あの力はなんだ?」 東が訊く 「初めまして!僕は望月綾時だよ」 「…有里湊」 「あれは、ペルソナっていう、ここでいうところのトリガーと同じだと考えてくれていいです。あと、この2人は私の仲間です。出水さんは1回聞いてるんですけど、私たちは近界民じゃ無いですけど、近界民です」 「どっちだよ」 「え、米屋さん選んでいいんですか。なら私、人がいい」 「えー、僕その定義だと近界民扱いだよー」 「…俺、微妙なラインだし…どーでもいい…」 「「「「お前ら真面目に答えろよ」」」」 「「くそ真面目だよ」」 「中途半端に人間やめてるから、なんとも言えないこの感じ」 なので、フィーリングで感じてください。きりっとした顔でくまーー!!は言い切り、笑う。 「お叱りも、処罰も後でまとめて受けます。でも、今は市民を、仲間を守ることの方が先決ですよね?忍田さん。構いませんか?」 《構わない。だが、後できちんと説明してもらうぞ》 《待て、私は“排除しろ”と、言ったはずだが?》 「今回襲撃を仕掛けてきた“敵”と定義付けられるアフトクラトルの角付きを撃退させたはずですが?敵は、今ここにはいません」 《…敵は全て排除しろ、と命じたはずだったが、分からなかったようだな。くまだ隊員。貴様を命令違反の裏切り者として処分することも可能だ》 《城戸司令!そんなことを私が許すとでも?》 「…1度…、1度でも、彼らは私以外の人間に刃を向けましたか?攻撃を喰らわせましたか?彼らは我々の味方です」 《ボーダーの人間であるはずの君を襲ったようだが、その事について、何か弁明はあるか?》 「敵を油断させる為です」 《そんな事は後からいくらでも言える。ならば、初めに彼らが敵に近づいた時に奇襲を仕掛ければ良かったのではないかね?》 「湊たちだって、私と同じようにアフトクラトルの者たちに恩があった。その人たちを裏切る“理由”が必要だったんです」 《…だからこそ、くまだ隊員を“わざと”派手に吹き飛ばし、敵の砲撃を喰らわせたとでも言うのか》 「はい」 《今こんな論議を続けても仕方ないでしょう!今この瞬間にも敵の攻撃は止んでなどいない!》 《…ならば全てを終えてから正式な処分を決定させてもらう。ボーダーの人間、市民に危害を加えた場合は…》 「その時は私が、責任を持って2人を、 殺 し ま す それなら、構いませんよね」 《…いいだろう。有里、望月の両名はくまだ隊員と共に行動し、C級の援護へ向かえ》 to be continues.....? (…くまーー!!、嘘は良くない) (知ってる) (あははっ。くまーー!!ちゃんに、っていうか、ただの人間に僕は殺せないのに。思いきった事言ったね) (それも、知ってる。湊がチート過ぎて、私が全力出しても殺せないことも、分かってる。) (…?なら、) (2人は絶対に私を裏切らない、でしょ。それなら、無理な約束をしたところで、それが実行されることは無いよ) (確かに) (それもそうだね) ×
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