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翌朝。
朝餉の後にメールを政府に送り、返事があるまで広間でまったりする事にした。

広間に残っているのは一期一振と宗三左文字である。
前回こんのすけに直接頼むとか言ったな。あれは嘘だ。無理。絶対嫌。
画面越しでの対応を願いたい。

「筑前国審神者薊様。政府より伝令を預かりましたので通知致します」

画面越しを願いたかった…!
ドロンと音をたてて現れて言い放ったソレは能面のように無表情だった。

『こんのすけくぅ〜ん、家に入るときは言わなきゃいけねぇ言葉があるよなぁ〜?』

「審神者様…今こんのすけは伝令を『は?』…只今こんのすけ帰還致しました」

『はい、おかえり。伝令の前にほれ、油揚げ食うか?』

「頂きます!はぐー!たまりませんな〜…はっ!誤魔化さないで下さいませ薊様!!」

『チッ。で、政府はなんだって?』

「…政府より伝令です。別の次元からの接触を確認。相手と相対した審神者薊は早急に敵を排除せよ。とのことでした。相手の顔を確認しているなら容易いだろうと申しておりまして…」

『上の連中は馬鹿ばっかりなの?』

「通常の任務は免除。全力を以て任務を遂行せよ。以上です」

『お断りだと言ったらお前たち政府は吠舞羅に手ぇ出すんだもんな?』

「今回断れば青のクランに居られる妹君へ処分が下されるようです…薊様……」

『フーン。そんなにヘイトをオレに溜めさせて政府は無事でいられるとでも思ってんのかねェ…任務は受けてやるが時期がくればやっちゃうぞ☆って政府に伝えとけ』

手をひらひら振りながら政府へ折り返すこんのすけを見送り、妹へ処分がと言った時点で殺気立った一期と宗三に向き直る。

『2人ともその殺気はしまえよ。外の奴らが吃驚すんだろ』

「申し訳ありません…主殿に妹君が居ることは聞いておりましたが、人質として扱われては腸が煮えくり返る思いですな。…弟達を思えば余計に抑えがきかず…」

「…貴方が政府を斬ると言うのならば是非僕を使ってください。貴方に籠の鳥は似合いませんから」

この二振りのブラコンっぷりは凄まじいと思わず苦笑いが漏れる。
自分も妹は唯一の家族なので大切に思っているが自分より怒り狂ってくれるものが居れば逆に冷静になれるというものだ。

『ありがとさん。取り敢えずこんのすけが戻り次第ゲートを繋ぐと思うからそれまでゆっくりしててくれ』

「承知いたしました」

「分かりました。が、向こうでの生活や相手の情報等はどうなるんでしょう?」

『それこそ生活基盤はしっかり政府に保証させるさ。それに別の世界だろうが統率のとれた警察みたいな組織かなんかあるだろ。許可なり協力なり仰がなきゃオレ達の方がお尋ね者になっちまう』

「此方が勝手に動く訳にもいきませんから妥当なところでしょうな」

「…それなら良いのですがね」

『不服か?宗三』

「いえ、そうではありませんが…僕には政府が貴方を厄介払いしたいと言っている様にしか聞こえないんですよ」

「宗三殿!」

「本丸への侵入も政府が仕組んでいたとしたら?今回偶々対峙しただけの主にわざわざ別の次元にまで送り込んでまでやらせるべき任務でしょうか。それに、こんな命令はおかしいと一期も感じているでしょう?」

「それはそうですが…!!」

『いいよ、一期。宗三の言っている事もあながち間違いじゃねぇだろうし。…それでもオレはオレの大事なモノを守るために動くだけだよ。居場所も家族も、な』

最初の招集で審神者の数が足りないからと無理やり色んな界隈から集められたときから政府の態度は高圧的だ。
他の一般の審神者には良い顔をしているようなので、オレ達の様な裏に足を突っ込んでいるような半端ものに対しては臭いものには蓋を、という扱いなだけだ。
別に不満は無い。外部との接触は断てと強く命令されていたが、最初の政府との契約時に連絡を取っても構わないと言質は取ってある。
守れるってんならどんな命令にだって従ってやるさ。
ある程度の自由を許してくれるなら、な。





もう2度と大切な時に大事なやつの手を掴めなくなるのはゴメンだ。







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