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―倒壊ゾーン―

薬研がたどり着いたその場所は壊れたコンクリートや鉄筋が飛び出しており、危険な場所だった。
窓ガラスの割れた破片もそこら中に散らばっていて、バランスを崩せば手足に深い傷を負いそうだ。
ここに少年少女がいるのであれば早急に避難させる必要がある。
音や気配を頼りに足を進めていくと、ある建物の内部から激しい戦闘音が聞こえる。
音の聞こえた建物の外からなかの様子をうかがい、襲われている少年2人を確認した。



あ、と思った時にはもう体が動いており、2人の少年が背中合わせで戦っていた足下の敵に気づいた薬研は飛び出してかかと落としをきめていた。



「よぉ、お2人さん。足下がお留守になってて危ないぜ?」

「あ゙ぁ?んだてめぇ…?」

「うおっ!気ぃつかなかった…!ってあんた誰だ?」

「俺っち薬研藤四郎だ。うちの大将からの命であんたらを保護するようにってな。といってもこれ以上手を貸す必要は無さそうだな。」

「保護だぁ〜?!てめぇが一発足下のザコ片付けた位で信用すると思っとんか!?つーか、それくらい気がついてたわ!!」



なめとんか!!とメンチ切って吠える赤目の少年。
警戒心が強いながらも薬研以外にも敵がいないかと索敵を怠ってはいない。
その様子を見て薬研は関心していた。



「そーか、そーか。ま、これ以上敵はいないようだし、お互い警戒を解いて自己紹介しよーや」

「お、それもそうだな!俺は切島鋭児郎!さっきは助かったぜありがとな!ほら、爆豪も!」

「何勝手に呼んどんだクソ髪やろう!」



BOM!BOM!と手元を爆発させながら切島へ威嚇行動を取る爆豪。
薬研はその様子を見ながら口の端を上げるようにニヤリと笑い、口を開く。



「別に言いたくなきゃ言わなくて良いさ。お前さんが人を見る目も無く現状把握も出来ない程のビビりの腰抜け野郎っつー事ならこれ以上聞くのは野暮ってもんだ。なぁ?」

「全っ然ちげーわ!!!クソチビ!!爆豪勝己だわ!死ね!!!」

「まーまー落ち着けって!な?つか、早く皆を助けに行こうぜ!俺らがここにいることからして皆USJ内にいるだろうし!攻撃手段少ねぇ奴等が心配だ!」


自分達が飛び出した事によって先生方が後手に回ってしまったらしい。
その責任を感じている切島に一つ朗報を渡す。


「他の場所にも俺たちの仲間が向かってる。そこは安心していい。ケガしていても抱えて広場まで連れて来る事も出来るだろうさ」

「そうなのか!?でも…」

「行きてぇなら1人で行け!俺はあのワープゲートをぶっ殺す!!」

「はぁ!?」

「おー威勢が良いねぇ」

「この期に及んでそんなガキ見てぇな…それにアイツに攻撃は…」




「うっせ!敵の出入り口だぞ。いざって時逃げ出さねぇよう元を締めとくんだよ!モヤの対策もねぇわけじゃねぇ!」




悪態をつきながらも着目点はしっかりしているし、自分の出来る事と優先すべき事をしっかりと理解している爆豪を見て薬研は先程彼を煽った際の評価を改めた。



「爆豪、さっきの言葉は前言撤回する。煽ったといえすまなかった。お前さんは冷静に判断を下せる人間だ。ワープゲートの所まで俺が連れてってやる」

「えっ!?」

「あ゙ぁ!!?てめぇに連れられなくても行くわ!!…つーか、生徒に充てられたのがこんな三下なら大概大丈夫だろ」

「つーか、そんな冷静な感じだっけ?おめぇ…」

「俺はいつでも冷静だクソ髪やろう!!」

「あぁ、そっちだ」

「くくっ…そろそろいいか?お2人さん」

「あぁじゃあな。行っちまえ」

「待て待て!ダチを信じる…!男らしいぜ爆豪!ノったよおめぇに!」

目的を一つに定め、3人で広場へ向かって走り出した。









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