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にこやかに女の子の顔に手を触れ、粉々にしようとしたその力は発動することは無かった。
「……本っ当にかっこいいぜ。イレイザーヘッド」
意識を今にも失いそうになりながらも生徒を守るためにわずかな力を使い、防いだ。
そのまま限界を迎え、気絶。
咄嗟に駆け寄った蛍丸に支えられ広場から離脱し、青江と共に入り口付近まで下がっていった。
そして、死柄木に顔を掴まれていた少女を救うために天パの少年が拳を振りかぶる。
「手っ…放せぇ!!」
「脳無」
『おめぇーは一々化け物使って少年少女の邪魔すんな』
少年の拳のズドッというけたたましい音に紛れ、ざぱっと水から勢いよく飛び上がり、短刀を振り下ろすのは同時だった。
死柄木の腕を切りつけ、小さい少年と蛙のような少女を抱えて離脱を図るも、殴りかかった少年は脳無に腕を掴まれていて回収出来なかった。
「う、うわぁあ!」
「ケロ…!」
「くそが…!ザコのくせに…!」
忌々しそうに唸る死柄木から転がるように離れた時、入り口の扉が吹き飛んだ。
「もう大丈夫!私が来た!!」
砂埃を巻き上げながら金髪のムキムキのスーツのオッサンがコミックヒーローのように登場した。
「オールマイトォ!!」
「あー…コンティニューだ…」
『えっ…あのムキムキのオッサン誰…?少年少女あのオッサンは味方?』
「貴方、No.1ヒーローのオールマイトを知らないの?」
「お前も味方かなんてわかんねーし!放せこらー!!」
『知らん!つーか、暴れんなクソガキ!とっとと避難しとけ』
荷物のようにぽいぽい下ろし、場の空気が変わった今自分のするべき事を考える。
「待ったよヒーロー。社会のゴミめ」
そう死柄木が言い放った数秒後には広場にいた敵全員を伸し、脳無に捕らわれていた天パ少年も救出。
ついでと言わんばかりに死柄木自身にも攻撃をくわえていた。
『まじかよオッサンくそ速ぇな。…こんのすけ』
一言呼びかければ、どろんと現れた管狐。
「はいっ!こちらに!」
『ゲート開け。第二部隊を集めろ』
「かしこまりました!!」
【コード認証開始します】
『審神者名【薊】筑前国を守護する者。高天原に坐し坐して万物に宿り見守り給う付喪の神々よ一切衆生の罪穢れの衣を脱ぎさらしめ給いて大願を成就なさしめ給へと恐み恐み白す!』
【コード認可ゲート開きます】
黒霧のモヤと同じようなゲートが出現し、その中から幼げな者達が現れ薊の前に膝をついた。
「第二部隊隊長乱藤四郎、薬研藤四郎、愛染国俊、平野藤四郎、小夜左文字、後藤藤四郎以上6刃主の命により今、ここに」
『全刃各方面へ散った少年少女の保護に回れ。ただし、誰も殺すな。全員生還させろ!散っ!』
「…あなた、何者なの…?ケロ…」
『御上に逆らえないしがない政府の犬だよ』
危ないから早めに避難しなさいよ。と肩をポンと叩き、オールマイトが救出した天パ少年の方へ背中を押した。
自身はオールマイトと脳無の戦闘に走り寄っていった。
「あ、あすっ…梅雨ちゃん!ケガしてない?!あの人は一体…!?」
「ケガはしてないわ。ありがとう緑谷ちゃん。あの人は味方のようよ」
「でもよぉ!信じられるかよ!?敵とめっちゃくちゃ話してたじゃんか!!ゲートから仲間も呼んでたし!!」
「それでも私たちを助けてくれたわ。倒れてしまった先生も心配だし、一先ずここから離れましょう」
「うん…!オールマイトの援護ができたら本当はいいんだけど…!」