あおい記憶
――初めまして、こんにちは。
貴女は先程死にました。
死を受け入れ、眠りについた貴女をボーナスステージへご招待致します。
その身体は最高傑作です。
上手に活用してください。――――
『現物は今ここにはないけれど、その手紙のままなら私は死んで、今ボーナスステージ真っ最中らしいですよ。』
「なっ…!?」
「なんと…!」
「なるほど?それを君は信じた訳か。」
『…信じる?冗談は顔の傷だけにしてくれませんか?ありえません、私は可能性の話しをしているんです!緋い羽根がある?鏡に映らない?だから私は化け物確定?不死者で吸血鬼?ふざけんな!記憶が無くても私は私です!化け物なんかじゃない!!冗談じゃ無い!!それなら私は絶対に元に戻ってやる!!元の!人としての!体を!取り戻して、絶 対 に 死 ん で や る …!!!』
一息で言い切ってゼーハーと肩で息をしながら、頭の中はひどく冷静で、自分自身に問いかけた。
私は死にたがりなのだろうか…?
絶対に死んでやる、だなんて…。
いや、違う、違うよ。
だって私は、私は…、――――――
脳裏に以前思い出した【青】とまた別の【蒼】
大切な人達の、大切な色。
始まりも終わりも【あお】だった。
あぁ、そうだ。
私はただ、守りたかった。
――――――また少しだけ、思い出した。
『…守ったものがあるんです。守りたかった人達がいるんです。私はそのために死ななきゃならない。…約束なんです。約束は、守らなきゃ。』
「その約束をお聞きしても?」
「記憶、無いんじゃなかったのかい?」
『「今」思い出したんだよ!ちくしょう!その約束の内容までは思い出せてないし、どちらにしても貴方たちには関係無いだろうから言わない!!』
ツーンとそっぽを向いてふてくされていると、レオが口を開いた。
「ねぇ、晴の探し物を探すならやっぱりここが最適だと思う。その…僕も取り戻したいものが、探しているものがあってここにいるんだ。」
『………レオの取り戻したいものって、何?』
「妹の眼を取り戻すこと。」
『……そう。』
「クラウスさんが僕に言ってくれたんだ。「光に向かって一歩でも進もうとしている限り、人間の魂が真に敗北することなど断じて無い」って。晴の、その…死ぬことって光に向かって進むために必要なこと?」
『必要だよ。私がやらなきゃあの子がやらないといけなくなっちゃう。それが嫌で、あの子の明日が欲しくて、私は進んできたの。あの子が私にとっての光だから。』
開いたレオの青い瞳を真っ直ぐ見つめて私は言い切った。
「なら、ここで僕たちと一緒に手始めに世界、救ってみませんか?」
いたずらに成功したようににっこり笑って私に差し出してきたその手を困り顔で笑いながら握った。
『…簡単に言ってくれるなぁ…もー…。』
あ、でも私スティーブンさんのこと許す気ないですから!!
いたいけな少女に全力で圧かけやがって!!
とぷんすか怒っていると、長身スレンダー美女が私の肩に手をかけてにっこり笑顔でこう言った。
「私はK.K。スカーフェイスをぶち抜きたいならいつでも協力するわよ!」
『まじすか!晴 村木です!K.Kさんおなしゃーっす!!』
「こらこらそこ徒党を組むのは止めなさい。」
「あんたは黙ってなさい!スカーフェイス!」
ギャーギャー騒ぎたてながらその場にいた全員ザップさん、チェインさん、ギルベルトさん、スティーブンさんと改めて自己紹介をして、最後にクラウスさんのいかつい笑顔で歓迎された。
「ようこそ、ライブラへ。」
これは、一度人生を終えた私のボーナスステージのお話しである。
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