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6月12日
月光館学園


あの満月での戦いから4日たち、痛めた体が少しの痛みで済むようになった頃、影時間での疲労から立ち直った風花ちゃんが午前中病院へ検診した後、登校すると連絡がきた。


「桐条先輩!晴から聞いたんですけど、山岸さん、今日から学校来てるらしいですね。」
「あぁ。いきなりの実戦でかなり体力を消耗したみたいだが、ようやく回復したようだ。」
「でも複雑…あの夏紀って子、影時間に起こったことはもう何も覚えてないんですよね?ってことは…山岸さんが恩人ってことも忘れちゃってるんじゃ…」
「いや、その心配は無いだろう。村木が様子を見にいくと言っていたし、一緒に見てきたらどうだ?」





午前の授業が全て終わり、昼休みになった頃、そろそろ学校へ着くだろうと思って席を立った。

「晴、山岸さんの所に行くんでしょ?一緒に行ってもいい?」
「そうだよーいいよー。」
「何々?山岸さんとこ行くなら俺っちも行く〜!」
「うむ、くるしゅうない良きに計らえ〜。」
「晴、それ、使い方違う。」
「だよね〜。って、ありゃ、湊も来た。一緒に行く?」
「…行く。」

4人でE組へ向かうと、扉を開けて入って行く風花ちゃんの後ろ姿を見つけた。
後ろから追って入ろうとしたけど、森山夏紀が風花ちゃんへ近づいて行くのがわかり、扉の所から様子を見ることにした。



「風花!」
「森山さん…」
「風花、あんた寮に入るんだって?」
「う、うん…」



ぎこちないながらも会話を続ける2人に初々しいカップルか!?という気持ちになって叫ぼうとした私に素早く気づいた順平君が私の口を手で塞いだ。



「ひ、必要なモンとかあんだろ…何なら買い物付き合ってやってもいいぜ。」
「えっ?森山さん…!」



森山夏紀のデレにキュンとしている風花ちゃん。
あ、甘ずっぺー空気ですね!!飛び出そうとした体はゆかりちゃんに押さえつけられた。

おかしい。私は暴れ馬じゃない。というか、私だって風花ちゃんとお買い物行きたい。
暴れないし、叫ばないから離してくれとジャスチャーで伝え、やっと解放された私は相当うらやましげに向こうを見つめていたらしい。

「晴そんなにうらやましいならメールして一緒に買い物ついて行けば?」
「くっ、私にあの2人の初々しい空気を壊せって言うんですかゆかりさん。」
「いや、普通に友情だろあの2人。」
「だって、方やツンデレギャルと聖母のような優しい子っていう素晴らしいコンビですよ順平君。」
「晴森山さんのこと嫌いじゃなかったの?」
「風花ちゃんをいじめた事に関しては許せないって思うけど、風花ちゃん自身が許しているので森山さんにこの怒りをぶつけるのはお門違いってやつです。ただ単に、友人としてジェラってます。私も構って欲しい。遊ぶ約束だって前にしたまま流れちゃってるんだよぉー…」
「ジェラってんのか。つか、なんで敬語なんだようける。俺っちと遊ぶ?」
「風花ちゃんとがいい〜…」
「フラれた俺カワイソすぎない?」
「…俺と買い物行く?」
「行く〜〜!」
「なんで湊のは断んねーんだよ!そこは最後まで山岸一筋でいろよ!」
「はいはい。漫才はそこまでにしてよね。そろそろ戻りましょ。」



微笑みあっている風花ちゃんと森山さんを眺めながら思い出したかのように順平君が呟く。



「にしても、なんで森山タルタロスに来たんだ?」
「そんなこと決まってるじゃない。友達を助けに来たのよ。」
「元々体育倉庫に閉じ込めたあと開けに行ったって言ってたもんね。大切だって気づいたんでしょ。」


そんな会話をしていると、湊の口元が微かに緩んだ。



「フッ…」



「「あ…」」
「お〜。」
「お、おい、ちょっと待てよ湊。お前今さ、ちょっと笑って…!」
「順平!」
「だって…!」






「んふふ…楽しいね、湊。」
「ん。」




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