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5月30日
やっとやっと29日に真田パイセンが復帰しました〜!
戦闘面においても経験のある先輩が増えた事でより探索が進みやすくなったし、索敵している桐条先輩の傍に守護役として誰かを置く余裕も出来ました!
真田先輩は肩慣らしだといって復帰したその日は男所帯で親睦を深めてくるとかいう熱血理論?で湊と順平君と肩を組んで探索へ行ってしまったので、残った女子組は男子のバックアップに努めた。まぁ、実際はただ広間?ゲート?で待機してただけなんだけどね〜


帰りに聞いた湊曰く、




「あの人はシャドウを見つけると嬉々として自分から襲いかかり、拳を振り上げる」




と聞いてちょっと怖くなった。
こっちに振りかぶってくる訳じゃあないからいいけど…マリンカリンしてくる敵に当たったら危ないのでは…?あ、私も皆も刃物持ってたわ…どっちもどっちだったね…
とにもかくにも、今日は私たち女子後輩と親睦を深めたいとのことで夜はタルタロスへ向かう予定になっている。





学校正門前
朝登校してみるとやけに騒々しい。人だかりと救急車で何か事件があったことは明白なようで…って、あれか。風花のターンか!
なんやかんや未だに風花ちゃんに湊のことを紹介出来てないんだよね…なんて思考を飛ばしていたら、人だかりの中に顔を真っ青にした森山さんを見かけた。


つまり、もう風花ちゃんはタルタロスに閉じ込められているってことになる…風花ちゃんの感覚的にはまだ閉じ込められてから1時間……たぶん今日の探索は無くなりそうだなぁ〜…
がっくりうなだれた状態になったが、満月まであと10日。
休み時間のたびにありもしないウワサ話が背びれ尾びれをつけて出回った。
きっとこの後は情報収集やらなんやらで慌ただしくなりそう…っていうか、10時間飲まず食わずは辛いじゃん…救出日は水と固形食でも持って行っておこう…タルタロスの中で食糧確保なんて出来ないし。
そうして今日一日全生徒が落ち着かないまま授業を受けて帰寮した。
先生方も倒れて搬送された生徒たちの対応に追われていて詳しく聞こうにも聞けない状態だった。






放課後 巌戸台分寮

「ただいまですよ〜」
「あ、おかえり遅かったね晴」
「ただいま、ゆかりちゃん。先生に引き止められて書庫整理してた。先輩とか湊たちは?」
「話があるからってそろそろ降りてくるって言ってたけど…」
「帰ってきてたのか村木」
「おっおかえり〜」
「おかえり」


声を掛けられながら皆がソファー席に座りだしたので流れで私も座った。…部屋に荷物置きに行けばよかったな…


「ただいま〜あり?桐条先輩は?」
「美鶴はまだ戻ってないな。てっきり一緒に帰ってくるかと思ったが…」
「全然会いませんでしたね…」
「まぁ、そのうち帰ってくるだろ。丁度いいお前たちにいい報告だ。仲間が増えるかもしれん。山岸風花2年E組の生徒だ」



真田先輩が在学生徒履歴所を見せながら話を始めた。個人情報の漏洩ってレベルじゃねーぞ…真田明彦…恐ろしい子…なんて事は顔に出さず適当に合わせることにした。
友達って話は今しなくてもいいっしょ。多分。



「お〜」
「おぉ〜女子!この子が新しい仲間なんすね!」
「…この子」
「俺たちのいた病院に来てたらしい。それで適性が見つかった」



あら?湊に紹介する前に自分から面識を持ちに行ってたっぽい?みたことあるーみたいな反応をしているけれども…
テスト明けからはちょいちょい別々に帰ったりもあったからなぁ。その時に会ったのかな?





ギィっと玄関が開く





「あ、おかえりなさい桐条先輩」
「あれ、どこ行ってたんですか?」
「あぁただいま。今朝校門前で発見された女子生徒の所だ。少し気になっていてな…」
「あ〜E組の子達…二人そろって気絶してたなんてちょっと気味悪いですよねぇ」
「どうだったんだ?やはり…」
「あぁ。二人とも、無気力症になっていた」
「「!」」
「「えぇ!?」」
「無気力症ってシャドウに襲われた人がなるアレ…ですよね?」
「そうだ。しかも発見場所が月光館学園というのがどうも気がかりでな…」
「それはやっぱり怪しいっていうか…原因っていうか…」
「…タルタロスが関係している」
「私もそう考えている」
「いやぁ〜そういんじゃないと思いますよ?」
「?何か知っているのか?」
「実は今学校でウワサになってんすよ…」



唐突に立ち上がった順平君が、部屋の電気を消し、懐中電灯を持ち出した。
自分の顔に下からライトを当てて語りだす…順平アワーが始まった。
美鶴先輩はネタが分かって無さそうだし、湊は反応が薄い。ゆかりちゃんはおびえてるのが丸わかりで真田先輩は面白そうに笑って聞いてる。私?私は真田先輩と同じように笑いながら聞いていますとも。



「…どうもこんばんは…伊織順平アワーのお時間です。世の中にはど〜も不思議な事ってあるようなんですよぉ…ご存じですか?遅くまで学校にいると…死んだはずの生徒が現れて食われるよって怪談…私の知り合いのA子がねぇ?言うんです。伊織さん、私変なもの見ちゃったって…その子、倒れていたE組の子が夜中学校に来てるのを見たって言うんです…私ね、それ聞いてこう思ったんです。そうか!夜中に学校に居たからきっと食われたんだ…!死んだはずの生徒に…!!」
「ヒッ!!」
「…世の中にはどーも不思議な事ってあるようなんですよぉ…まぁ、全部、私の推測なんですが、ね?」




パチッと電気を再度点けて先輩達が顔を見合わせる。



「…どう思う?」
「怨霊はともかく、二人同時に、しかも学園の前で無気力症になった点は気になるな…この二人の動向が分かればシャドウに狙われる予兆を掴めるかもしれない」
「予兆が分かればシャドウに襲われる前に助ける事が可能かもな…」
ぽつりと湊が言葉を呟いた。
「…なんで、深夜に学校に行ったんだろう…?」
「問題はそこだ。学校に居た理由さえ分かれば何か掴めるかもしれないんだが…」
「んじゃ、しばらくは情報収集ってことでいいんですか?」
「そうだな。なにか分かれば今日のように集まって共有しよう」
「おーけーです!試しに今風花に電話してみますね〜。明日時間作って〜って」
「は?!晴山岸さんと友達なの!?」
「え?うん。真田先輩が風花が新しい仲間だ〜って言った時点でめちゃんこ驚いたんだよ?」
「どっこも驚いてなかったじゃねーか!『お〜』って一言だけだったろ!?」
「てへぺろ。とりあえず掛けてきま〜す」
「…逃げた」



…ちょっと皆から離れて電話をかけてみるが繋がらない。やはり昨日の夜からタルタロスに閉じ込められているようだ。
…いっそ昨日体育館に一緒に閉じ込められれば良かったか…?でも29日は皆でタルタロス攻略で行ってたから別行動はどっちみち不可能だったしなぁ…はぁ……



「せんぱ〜い…コール音なりっぱで風花ちゃん電話に出てくれなかったです〜…。寝るには早い時間だと思うんですけど…」
「そうか。また明日かけてみてくれ。また電話に出なくとも月曜になったら学校で会えるだろう?今日の探索は中止しよう。皆ゆっくり休んでくれ」
「そうですねぇ…了解でーす」


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