まだ発車してすぐだったのか駅からそんなに離れていない場所で列車を発見した。
入り口は開いており、簡単に内部へ入ることが出来たんだけどこれ上手くいき過ぎじゃない?
そんなにご都合過多だったっけ?
はて?と首を傾げながらこの後の展開を思い出そうと頭を捻る。
モノレールで大型シャドウが出てきて湊と順平君が和解する、位しか思い出せない〜〜!
ほんっとに記憶力無いなぁ!もう!
「…ドアが開いてる」
「確かにまだ駅に着いてる訳でも無いのにドア全開っておかしいわね」
「あー…もしかしなくても罠だったり?」
次の瞬間。全ての扉が閉まりきった。
「ちょっ、ウッソォ!フラグ回収したくなかった!!」
「ダメだ!!開かねぇ…!」
順平君が扉を力ずくで開けようとするが固く閉ざしたまま。
ゆかりちゃんが桐条先輩に現状報告をしている間に奥の車両からスッとシャドウが現れた。
「出やがったな!」
「!後ろにも!」
「ゲッ。サンドされてんじゃん。まじか!」
「にゃろぅ逃がすか!!」
「待って!一人で勝手にやんないでよ!!」
「アァ!?あんなの俺一人で十分だっての!」
「ちょっと順平!!」
「あらら…」
言うだけ言って順平君は前の車両にシャドウを追いかけて行ってしまった。
私は順平君をじっと見ていた湊を見上げて取りあえず危ないし順平君を追いかけることに決めた。
「冷静な判断出来てなくて危ないから伊織君の事追いかけるわ。後ろはよろ〜」
「晴まで!あーもう!有里君私たちも!」
「でも…」
「仲間なんだよ!?」
ゆかりちゃんは心配だからこそ仲間を追いかける、協力して戦うという気持ちでいるんだろうなぁなんて後ろの声を聞きながら走る。
湊は…まだ分からないんだろうなぁ。
「来い!ヘルメス!」
「伊織君、私も一緒に戦う!」
「はぁ!?俺一人で十分だって言ったろ!すっこんでろ!」
「うわっ口悪!ひどくない?!友達の心配くらいさせてよ!サポートくらい勝手にさせろし!」
「ぐっ………俺の足引っ張んなよ…晴」
「よしきた順平君!任せろぃ!!」
二人で前方車両のシャドウをばっさばっさ斬りながら時折後ろを振り返り湊たちの影を確認しようとするもまだ来ない。
出来れば早めに来てほしい。
桐条先輩からの通信も今聞こえてないから不安だし、列車が動いてるのも怖さを煽ってる。
順平君はシャドウを倒すことに集中しすぎて列車が動いてることも気にしてない。
まずいぞ〜これ。どうにかして順平君の安全確保しつつ、列車止めないと…!
_30/42