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5月9日 満月
駅前広場

確か今日は大型シャドウが出る日なんだよな〜…
影時間はだいたいカリカリしてるゆかりちゃんと、飄々としてる風に見せかけてちょっと最近こじらせ気味の順平君も気にしつつっていうか、皆各々トラウマ抱え持ってるし、人間関係って元の世界でもめんどうだったけどコッチでもやっぱり変わらないんだなぁ〜。
仕方ないっちゃー仕方ない。これが現実。

私も随分こじらせてるしなぁ……人の事言えねーわ…
あれか。こういう時に大人は酒とたばこを嗜むのかねぇ…
…一切煙草とお酒の味なんて知らないけど
思わずため息をつきながら湊と同じように階段に腰かけていると遠くから影時間では聞くはずの無い音が聞こえてきた。
ライトがまぶしくこちらを照らして目の前でソレは止まる。


「遅れてすまない。シャドウの位置は駅から少し行った辺りにある列車の内部だ。」

爽快とバイクから降りてきたのは桐条先輩だった。淡々と情報を話してバックアップの準備を進めていく。
ゆかりちゃんは桐条先輩の近くへ寄り、順平君はバイクのそばへしゃがみこんですげーすげーとはしゃいでいる。

「ってことは線路を歩かなきゃってことですか!?それって危険なんじゃ…」
「おぉー。中々出来ない体験。」
「もう!晴ちょっと黙ってて!」
「心配ない。影時間には機械は止まる。無論列車もだ。動くはずは無い。」
「え、あ、いや、でも、このバイク…」
「これは特別製だ。」

特別製ってだけで済んじゃう桐条印のパワーワード感ってすげー。
現実とか言ってたけどやっぱりここら辺はご都合主義ってやつかねぇ〜。ま、いいご都合主義なら大歓迎だよ。
私はちょいちょい口をはさみながら腰かけたままだけど湊は相変わらずじっと成り行きを見守っている。

「有里、現場の指揮は任せるぞ。」
「ちょっ!!なんでこいつなんスか!こいつリーダーっぽくないっしょ!」
「…頼めるな?」
「分かりました。」

湊って言われたから、頼まれたからやる。みたいな流されるままにただ生きてる、みたいな…
何も興味関心を持ってない、考える事を止めちゃってるみたいな感じあるよね。
戸惑いながらゆかりちゃんはよろしくって言ってるし、順平君は気に食いませんって態度を出してるし。
皆大人になろーぜ!なんて言おうもんなら空気読め!って怒られるんだろうなぁ。





思春期って大変。…私もだけど。




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