自分自身で引いた引き金はもう止めることなど出来はしない。
それは始まりの合図でもあり、終わりへのカウントダウンでもあるのだから――――・・・……
自分で呼んだペルソナの名前を叫ぶ
「チシャ猫!!」
出てきたペルソナは不思議の国のアリスに出てくるチシャ猫だったようで、口が裂けてるんじゃないかと思うくらいの大きな口でニヤァっと笑って胴回りは鎖でつないである時計をぶら下げ私の前に存在していた。
少し不気味な位だ。
頭の中でチシャ猫のスキルが浮かぶ。
ペルソナ:チシャ猫
アルカナ:運命
耐性:斬撃 光
弱点:火
スキル:スラッシュ・ハマ
今必要なスキルが特に無く、録なスキルねーなちくしょーなんて思いながら
「スラッシュ!!」
と言い放った。
敵に向かった攻撃は見極められていたのか外れた。
思わず舌打ちが漏れかけてそのまま眉間に皺を寄せながら辺りを見回す。
湊は二撃目に入ろうと米神に召喚銃をあてて引き金を引いた。
「…オルフェウス!アギ!」
ダウンした敵にヒットし、消滅した。
残り二匹
一匹のヴィーナスイーグルが湊へと向かっていて、防御が間に合わない。
私が走っても無理と一瞬で判断を下し、引き金を引く。
「チシャ猫!ハマ!」
効果が当たることは無かったけど、ハマ自体は発動して相手の動きを一瞬止める。
その隙を使って湊が斬りに行き、消滅。
「ごめん!仕留められなかった!」
「そんなことないよ。フォローありがとう晴」
「当たらなくってもバックアップは出来る事が分かって心底安心してるわー。」
「効果を上手いこと使ってるなって思ったよ。」
「まじか。湊君に褒められるとか嬉しすぎる」
じゃぁ、ラスト一匹行こうか、と湊に言われて軽口を叩きあっていた口を閉じて敵を見据える。
桐条先輩からは最初以降連絡が無いと思っていたらゆかりちゃんと順平君を呼んでいてくれていたようで、《岳羽と伊織が合流する!》と通信が入った。
私たちと反対側の通路から敵を挟むようにゆかりちゃん達と合流した。
「二人とも怪我は無い!?」
「おー!お二人さん俺っちが来たからには安心しろよ!サクッと片づけてやるからな!!」
「…順平うるさい」
「ゆかりちゃん怪我はないよー。ありがと!」
一瞬でにぎやかになった。
そんなこんなしてる内にゆかりちゃんはヴィーナスイーグルに向けて矢を放ち、弱点を受けた敵はダウンする。
「来た!総攻撃チャンス!」
「おっしゃー!!行くぜー!!」
「行く?湊」
「…総攻撃開始」
湊の開始合図を聞いて皆でダウンしている敵をフルボッコにしていく。
…なんか一匹だけだからかわいそうに思えてきたなぁ……
1Fタルタロスエントランス
湊が端の壁を見つめてぼーっとしている時にゆかりちゃんが興味深そうに聞いてきた。
「結局晴のペルソナって、どんなペルソナなの?」
「あー…んーとね、」
「…まさかまだ使えてなかったの?」
「いやいやいやいや!使った!使ったよ!チシャ猫だった!猫!」
「猫ってあんたね…。まぁ、いいわ。これでもっと上の階まで探索出来そうだもの。」
「…いや、ほんとかたじけない…」
「でも晴がペルソナ使えて無かったのって有里君が原因でしょ。」
「あいつカホゴだよなー」
「!!」
にゅっと会話に入って来た順平君に声も無く驚く。
「順平も気づいてたの?」
「おう!まぁ、俺っちのすんばらすぃーカンサツガンっての!?さいのうってやつ!?」
「あーはいはい」
「ゆかりっち雑!反応が雑!」
「お前たち、おふざけは此処までにしろ。撤収するぞ。」
桐条先輩の声を聞いて湊へと駆け寄る。
「湊、帰るよー」
その声が聞こえたのか湊はこくりと頷いて私の手を取って歩き始めた。
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