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4月30日
世俗の庭テベル3F

あの順平君主催の対談会以来ペルソナを出すぞ!っと意気込んだものの、タイミングが合わずにまだ自分のペルソナと対面しておりません。

今は、影時間のタルタロスに体が慣れるようにと低い階で戦闘しつつ、馴染ませていて、今の最高到達階は8階までで、5階で軽いボス戦をしている時すらペルソナを出せずに終わってしまった…。

どーしたもんかと頭を捻りながらパーティが解散している今なら、と落ち着いて周りを見てみると

なんということでしょう!湊が私を上手いこと庇いながらそれを悟らせないという上級スキルを使いながら戦っているではありませんか!
なんてどこぞの劇的ビフォーア○ターみたいに言ってみたけれど、これはダメでしょ。
私がスキルアップしないどころかきっと最終的にはお荷物になっちゃうからね。
それに、ゆかりちゃんともペルソナ使うって約束してるから使っていかないと。

「湊、ちょっといい?」
「何晴?」
「湊は私にペルソナを使って戦わせない気?」
「出来る事なら戦闘すらしないで欲しいと思ってる。」
「おーい。私が特別課外活動部に入った意味そのものすらなくなりますよー湊さーん。」

いくらそのイケメンフェイスで頼まれても承諾出来ない事はあるのですよ。
おどろおどろしい空間の片隅で湊を正座させながら説得・お説教をしていく。
湊に何を言いたいかっていうと、校則・規則は破ってもいいけど約束は破りたくないということなんですよ。
校則と規則は一方的に示されていて、破れば自分の責任ですむけれど
約束は最低でも2人いなければすることは出来ない。
それは自分対他人で結ぶ簡易な契約で、破れば相手が傷つくから破ることはしたくないし、私も破られてショックを受けたくは無い。

「…何の為の約束だったのってなっちゃうし、私自身スキルアップして役に立ちたいんだよ」
「……ごめん…。…分かった…、」

めちゃめちゃしょんぼりしてる湊に言い過ぎたかな、なんて思ったけどその今までの甘やかしがいけなかったんだと自分を戒めつつ無理やり納得させる。
湊に手を差し出して立ち上がらせ、今いる階の探索に行っているゆかりちゃんと順平君に合流しようと通路を歩き右へ曲がろうとした時、桐条先輩から通信が入った。

《気をつけろ!近くに強いシャドウの気配だ》
「まじか…りょーかいです!」
「わかりました」

こちらが有利になるようになるべく戦闘は進めたい。加えてこちらは今パーティは解散中しかも私というお荷物付きだ。
薙刀の柄をギュッと握りしめ、こちらに目を向けていた湊に頷いて行けることを示す。
鞘から剣を抜き、湊が一気にシャドウへ向けて走り出した。
潜んでいたシャドウは三匹で全てが5階の時に戦った事のあるヴィーナスイーグルで、一度倒した事のあるシャドウだった為、弱点は分かっているが貫通属性もガルが使えるペルソナも居なくて、少しヤバイんじゃ無いかと思いながら後に続いて走り出す。
不意打ちで湊が一匹に切りかかり、クリティカルだったようでダウンした。
残りの二匹は一匹やられたことで此方の様子を伺っているようで仕掛けて来る気配は無い。
なら今このタイミングで行きますか!と一人気合いを入れ、腰のホルダーへと手を伸ばし銃を手に取った。
後は自分の頭をぶち抜くだけだと分かっていながらカタカタと震える指では引き金を引くことが出来ない。
あれだけ最初の頃ゆかりちゃんに対して文句を言っていたのにこの様かと自分で思わず笑ってしまった。













思い出せ。
自分は何の為に力を求めたのか。

思い出せ。
こっちに来たばかりの頃に自分を救ってくれたのは誰だったのか。

思い出せ。
あの日何を犠牲にしても叶えて見せると自分自身に誓ったことに嘘は無かったかどうか。









自分の米神に銃口を当てたまま、口を開く











「  ペ





  ル 






      ソ













    ナ    」









―――――その言葉と共に引き金を引いた。





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