同時刻の午後4時―――
作戦室のモニター前
「そうか。彼らは幼なじみなのか。」
目の前のモニターを見ながら綺麗に巻いてある赤い髪を背中までのばしている女性が言った。
モニターには落ち込んでいる青年と、そんな青年を見て焦っている少女が映っていた。
「はい…桐条先輩。有里君本人が言っていたので間違いないと思いますよ…。」
答えたのはモニターに映っている男女と同じクラスメートの岳羽ゆかりだった。
「美鶴、彼女にも適性があるんじゃないのか?」
そう言ったのは赤いベストを来た短髪の青年だった。
「明彦、彼女は普通寮に入寮している。」
恐らく適性は無いだろう。
桐条先輩と呼ばれた女性、桐条美鶴が答えた。
3人に共通しているのは制服を着ていることなので同じ学校での先輩後輩なのだろう。
「あ。」
有里君も笑うんだ…。
モニターを見ていたゆかりが声を上げた。
ギスギスしていた男女が仲直りをしたようだ。
仲良く微笑みあっている。
ゆかりは自分とモニターに映っている青年、有里湊と話した事は何度かあったが、彼が笑っているところは見たことが無かった。
「やあ。お疲れ様。彼の様子はどうだい?」
そんな声をかけながら作戦室へ入ってきたのは髪をオールバックにして丸メガネをかけた男性だった。
美鶴が「理事長。」と呼んだことから男性が学園の理事長であることが分かった。
モニターを見て、今の事のあらましも説明し、話しは今夜誰が見回りに行くかという話しになった。
「俺が行って来ます。」
美鶴に明彦と呼ばれた青年が答えた。
自分の腕に自信があるのか好戦的な目で拳を合わせながら言い切った。
その場ではもう得る情報は無いとふんだのか、一度解散となり、理事長の幾月と美鶴は作戦室に残りゆかりと明彦は各々の部屋へ戻った。
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