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一方的に気まずさを感じて、逃げ出そうとSHRが終わった後、荷物を小脇に抱えて全力で帰ろうと走り出して教室の扉を開けた瞬間。
腕を掴まれて体が後ろに傾いた。
あ、やばいと目をギュッとつぶり、後頭部への衝撃を覚悟した…
ら、ボスッと鈍い音を立てながら誰かに倒れこんだ。
閉じていた目を開けて上を見れば予想通り湊君の顔が近い位置にあった。
うーん…どうやって逃げようかな…っていうか、なんで逃げようとしてるの私。
逃げる理由も無いのに何故?と思いながら、あぁ、昔は可愛かった湊君が美青年になってて恥ずかしくなったのかな?納得。と自己解決して、周りを見回すと湊君と話したことのあるであろう友近君や、順平君、ゆかりちゃんはびっくりしてるし、他の人もちょっと興味深めにこっち見てるし、なんかもう全力で消えたい。
そのまま湊君は喋らずに私の手をひいて教室を出た。
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巌戸台分寮
湊君の部屋
道中何も喋らずに来たのは思ったよりもきつかった…思ってたよりもきつかったんだ…。
パタンと扉を閉められ、目も合わせられず逃げ場をなくした午後4時。
「…なんで避けるの…?」
俺のことキライになった…?目も合わせてくれないし…
目線を下に下げてしょんぼりした顔を湊君がした瞬間に
「それは絶対に無い!!」
と目を見て言い切った。
「なら、何で?」
「あー…それは…」
「…やっぱり、」
「あーあー!!ただ単に久しぶりに会えて恥ずかしかっただけ!」
ごめんねっ!!
なんて投げやりになりながら湊君に謝って手を握って目線を上げてみると、安心しきったような顔で湊君が微笑んだ。
そのまま小学生の頃の話しやら、引っ越した後の暮らしのこと、話題は尽きずに話しつづけた。
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