12

4月9日 満月
今日、最初の大型シャドウが現れる。



私はまるで遠足前の子供の様にあまり眠れずに朝を迎えた。
ドキがムネムネ?…まぁ、とにもかくにも、学校はあるから行かないとなぁ…



詳しいことは覚えているうちに!なんて今更ながらに思って、昨日ポケットサイズのメモ帳にこれからのことをざっと書き出した。



これがありがちのヒロインなら瞬間記憶能力とかあって記憶力すっごくいいんです!ドヤドヤ!っとか出来たんだろうけれど生憎私にそんな便利能力は無い。
書き出したと言っても、完璧なんかじゃない。
忘れているものは忘れてしまっている。



…早めに書き出しておけばよかったと猛烈に後悔してるよ…


このメモはきっとすぐに役に立たないと思って燃やしてしまいそうだ。
がっくりとモノレールの中でうなだれていると、ふいに視界に誰かの靴の先が入ってきた。


「…気分でも悪い?大丈夫?」


そういって覗き込んできた顔は最初に出会った頃より大人びた湊君の顔だった。


「あぁ…やっぱり晴ちゃん?」
あの日みたいな、泣きそうな顔してるよ。
そう言いながら微笑んでタイミングよく着いた月光館学園前のホームである辰巳ポートアイランド駅に私の手を引きながら降りた。

初めて出会った日も私の返答を聞かずに歩いてたなぁなんてぼんやり思いながら改札を出ていて、そういえば近くにゆかりちゃんいたよね?なんて思い返していたら


「ちょ、有里君!?」
と言いながらゆかりちゃんが追いかけてきていた。その顔は驚きに染まっている。


そういえばまだ湊君になにも言葉を返してないと思い、


「湊君久しぶりだねー。泣きそうだったのはちょっと自分の不甲斐無さを悔やんでただけだから気にしないで欲しいなぁ。」
あと、岳羽さんおはよーと話しかければびっくりしたように

「お、おはよう…。ってそうじゃなくって、二人は知り合いなの?」


と私の事を訝しげに見てきた。
私が答えるより早く湊君が「…幼馴染。」と答えていた。


ちなみにその時の湊君の顔は微笑んでおらず、無表情だった。
あー…、前も思ったけど有里さんコミュ築く気、あります?
私なんかに向けていたあの輝かしい微笑みは何処へ…?



なんだか微妙な雰囲気のまま校門をくぐり、教室へ行き、授業を受け、なんだかよくわからないけどあんなに話しをしたいと願った湊君から逃げた全ての休み時間。


そして放課後―――――――

_13/42
PREV LIST NEXT
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -