――
――――キーンコーンカーンコーン…
学校の終礼のチャイムが鳴った。その音と共に椅子を後ろへひくガタガタとうるさい音が教室に響いていく。
クラス委員の人の「きりーつ」「れーい」という何とも気の抜けるあいさつの後、大体の人が友達のそばへ寄って帰りに何処か寄り道をしようという話や、今日は金曜日だからカラオケに行かないかという話で盛り上がっている。
私にも一応友人と呼べる人はいる。まぁ、1人ぐらいだが、他の人とは単なるクラスメイトという枠組みの中の人間関係位しか築いていない。
私は…なんというか、女子特有のあのきゃっきゃした感じが苦手で、クラスのどのグループに居てもあまり違和感がないように色んなグループへふらふらしている。
最近は何かとすぐにだれだれちゃんうざい、やら皆ではぶっちゃおうかなど、面倒でえげつないいじめを開始する人がいる。そんなグループの人はだいたい皆いじめられることをグループ内で一巡りするまでやり続ける。
よくもまぁ、飽きないものだ。まさに「明日は我が身」だ。
更には、いじめをやって、やられてを繰り返す癖にいつのまにか同じメンバーで固まっている。何故いられるのか謎が深まるばかりだ。
まぁ、クラスのそんなことはどうでもよくて、教科書を整えて鞄に仕舞った私は普段一緒にお昼を食べている沙紀と帰ろうかと話しながら昇降口に向かう。
普段話が盛り上がる方が多い私達だがたまぁーに無言の時がある。私と沙紀はご飯を食べるときは基本的にあまり喋らないのでその無言も気にしていないし、そんなことすら楽しいのだが周りはそう思ってくれないらしく、
「そういえばさぁ…、この前町田さんに沙紀ちゃんと晴ちゃんって一緒にいる意味あるの?って言われたんだけどww」
お昼の時無言じゃん。一緒にいて楽しいの?とまで言われたらしい…
…今の私の顔はたとえるならこんな顔をしていることだろう
(゜o゜)ポカーン
「…とりあえず町田さんにそんなこと言われる筋合いはないよねぇ」
「だよねぇ。楽しいから一緒にいるのにね!」
…嬉しいことを言ってくれる。
沙紀はさらっとなんてことないように言ってくれるからこちらまで嬉しくなってしまう。
だから私も、わかってくれるそんな沙紀が好きだよ〜あははそれはないわ〜ひどいな〜なんて言って笑いあった。
「そーいえばさぁ、晴ちゃんこの前なんかゲーム買ったって言ってたけど、どーいうゲームなの?」
「ペルソナ3っていうゲームで、男女主人公のどっちかを選べて、浮気を6股位まですることができるゲームだよ〜」
「なにそれw」
「今度貸そうか?私が買ったのはPSPの方だからやりやすいよー」
「ゲームは苦手だから遠慮するわ」
でも話は教えてよ。いいよー。じゃあ、また来週ねーと別れ道で手を振りあった。
まだ5時を過ぎた位なのに空は雲のせいで薄暗くどんよりとしていて、星を眺めるのが好きな私にとっては星空が見えなくて非常に残念である。そーいえば、ペルソナの主人公のイメージカラーって赤と青だよなぁーなんて関係ないことを考えて、
ふと見上げた空の雲の間から月が見えた。
真っ赤な満月―――
なんか嫌な予感がしそうだなぁ…なんて考えながら家へ向かう足を速め、家の玄関を開けて入ったところで私の意識は途絶えた…。
_3/42