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メローネとギアッチョ




※死ネタ
※メローネ生存
※ある2つの曲の歌詞をモチーフにしています










気付けば夜空の真ん中にいた。

遠く光る星は線路のように並び、
ぴちゃぴちゃと魚がはねる。
地上からは見えなかった色とりどりの光、それがあつまった川や海。




俺は何をしてたんだっけ。



ギャラクシー、ギャラクシー



手にはいつのまにか切手が握られていた。

記憶を遡ろうとするが頭がガンガン痛むだけで何も覚えていない。

そんな自分に苛つく。

むかつくぜ、とふと足元をみると随分下のほうに紙飛行機が散らばっていた。


(…?)


フカフカ泣く雲をふんずけて歩く。

夢のような景色―――、俺はどこかで見たことがあった。

散らばるビーズに発光するビー玉。

白い花畑を通りすぎ、そこらじゅうに飛びかう欝陶しい光をよけて、俺は一つ紙飛行機をひろいあけだ。


《ギアッチョ、》


響く声に顔をあげる。


(だれだ)


なぜか鳴らない喉を押さえて辺りを見回しても声の主は見当たらない。

(なんなんだよクソッ!)

勝手に足が星を渡って声のほうへ走る。

スワロフスキーのペガサスとすれ違い、

飴細工のフラミンゴを追い越して、

霧が身体にまとわりついては溶けて後ろに流れていく。


《ギアッチョ…》


同じ声に立ち止まると、そこは駅のようだった。

荒れた息をそのままに大きな時計に寄りかかって、ずるずる腰をおろす。

自分が迷子の子供のようだった。

誰だかわからないが、声の主にあいたかった。


「どこにいるんだよ…」



《俺はここだよ》



響く声に慌てて立ち上がった途端―――記憶が波のように押し寄せた!

こんなにも、こんなにも、大丈夫なものを俺は、

自分を呼ぶ涙まじりの光に手をのばす。

(メローネ!)


擦れた声で叫んだ。

瞬間、星の海に浮かんでいたガラスの鳥たちが飛び立つ。

水しぶきと混じって消えてしまいそうなその光は爪をかすって、


《ギアッチョ、》

《あいたいよ》


ここにいるのに!!


どうしても届かないまばゆい光は暗闇に飲み込まれていく。


「くそっ!」


見えない隔たりに拳をぶつけて、やっと気付いた。

足元に広がるのは何百もの紙飛行機、気球。

頭上には大きな黒い穴。


《…ギアッチョ》


「あぁ、そうか。」


紙飛行機を拾いあげると、チピチピと氷が溶ける音がした。


《伝えられなかったけど》


《俺は、》


《あんたが__だった。》


「――馬鹿野郎」


大きく輝く青い星にキスをして、俺を形づくっていた氷は溶けて泡になる。


《あいたいよ》





次に目を覚ますと汽車の中だった。

ガタンゴトン

心地よい揺れにまどろむ。
ガタンゴトン

車窓から眺めた朝焼けは、少しアイツのにおいがした。


《おやすみ》




遠くにいってしまったのは、俺の方。








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