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メローネとギアッチョ




※とてつもなく短い
※軽く死ネタの香り












「ギアッチョ」

雪だね。

「そうだな」

安いアパートから出ると一面の白が広がっていた。




午後五時。
まだ寒い2月の歩道を歩く。

少し温かみのある色を帯びた地平線がギアッチョの瞳にうつりこんで宝石のようだった。

横をみやると彼は鼻を赤くして眉をひそめる。

「なんだよ」

白い肌が背景に霞んだ。

そのままどこかに消えてしまいそう。
彼が強いことは充分知っていたけれど、妙な所が儚い。

(氷は、脆い)

ポケットにつっこまれていた手をつかむ。

ギアッチョは何も言わず空を見上げた。

「止みそうにねぇな」

灰色の空からは絶えず冷たい華が舞い降りる。


「なあ、ギアッチョ」

「おれはあんたのそばにいていい?」


返事はなかった。

その代わり寄せられた肩に、視界が歪んで俺はうつむいた。


「いつまでも、ずっと」






ユキノハナ





「うそつき」


カフェに後から来た彼は、微笑んでいるように見えた。


「ごめんね」


さあ、バスは行ってしまった。どこへ行こうか


つないだ手は、あの雪の日より冷たかった。






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