鎖骨にエロスを感じるかと聞かれれば、僕はそうでもないなぁと答える。正直なところ、本当に何の劣情も沸き上がらない。あんな骨ばったところに何を魅了されればいいのか、何を欲情すればいいのか、さっぱりだ。
「えー、俺は好きですよ、鎖骨」
ゴールド君はきょとんと目を丸くしていた。
「ゴールド君は鎖骨…萌え?の、タイプなの?」
「萌えっていうとなんかアレですけど…なんか、なんとなくイイじゃないですか」
「その、どの辺がイイのかがわからないんだよ」
うーんとゴールド君は唸る。
「なんていうか、ライン、…ですかね?細い線とか。あとは、無防備っていうか脆そうに感じるんじゃないですか?」
「ふぅん」
そう言われれば、まぁ理解できないでもないかなぁ。弱そうにみえるものは守ってあげたいなとか大切にしてあげなければと思う。そういう感覚なのかなと何となく思った。
のは、失敗だった。
ふんふんと頷いていると、ゴールド君が突然腰をあげる。隣り合わせて並べていた座布団が畳と擦れてずれる。おや、なんだか嫌な予感。ゴールド君は跳ねた前髪を不審げに軋ませた。
「だからマツバさんとか見ると、」
マフラーはぎとりたくなっちゃうんですよね。
ゴールド君はにこっと笑う。微笑みはそのまま、右手は僕のマフラーをがっしりと掴む。左手で僕を畳へ押し倒す。すると驚くことに、僕の首へ巻き付けてあったはずのマフラーは、彼の手の中に収まってしまっていた。おやこれは、困ったなぁ。年下の少年を見上げているというこのシチュエーションは、あまり芳しくないものだ。知らずに冷や汗が伝う。あっという間に剥ぎ取られた首回りは、涼しいを通り越して寒いくらい。そして危惧は直ぐ様形に現れた。笑顔の少年は僕の首筋から胸元へ唇を寄せる。唾液で濡れたら、ほら、一層寒い。
いや本当、やっぱり僕には理解できそうにないなぁ。鎖骨萌えってのは。





なめたいかみたい





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