順調な人生とは何をもって定義されるのだろうか。答えは判りきっている。アンサー、そんなのは人それぞれです。幸せの連続か、努力の蓄積か、困難続きの後に手にいれた平凡か。はたまた別のものか。上手くいくための努力が続くことを順調というのか、遮るものがない滑るような道を順調というのか。それらは人それぞれでしかないと思うのは、間違っていないと思う。
そして、とある一人の人物としての俺の順調とは、どんなものであるか。俺にとっての順調な人生とは簡単に言えば、計画を華麗に達成していく人生だ。障害物があって構わない。遠回りも敵対もあって平気。ただ最後のゴールにきちんと到達できればいい。紆余曲折あれどきちんとこなせるのなら問題なし。達成できるのならそれは順調なのだ。
「というわけで俺はこれからレッドを乗り越えてかなきゃいけないんだよ、ごめんね」
「……俺も、ごめん」
「うーん謝らないで欲しいなぁ…」
「悪いね」
「そう思ってるのなら離して欲しい」
すがるような血の目付きが、俺の奥深くを貫こうとしているのに気づいた。誰かにとっての順調は、誰かにとっての不調でしかないかも。なんて考えたりする。
「……ね、旅なんてやめなよ」
「レッドの頼みでもさすがにきけないよ」
「いないと寂しい」
「嘘だよレッドは、俺がいなくて寂しいなんて思わないな」
「そうかもね」
「ほらぁ。ね、手を離してよレッド。俺そろそろ行かなくちゃ本当にこま」
そこでレッド、「でも」と遮り一言。
「……でもファイアがいないと退屈で退屈で、一人遊びにふけっちゃう、かも」
 順調な人生に書かせないものがある。それは強固で揺るがない決意、意思だ。計画に縛り付ける手綱を緩めたら途端に転落するからさ。俺?うん、そうだね、見事に転落。緩めた先から簡単に崩れ去ったよ。順調なルートからまっ逆さま。
引き留めてくる腕を絡め返して、ベッドイン。幼い頃慣れ親しんだ二人のベッドは、軋みながらも受け入れてくれる。シーツに埋もれるタイミングを見計らったように、襟とか腹の辺りがはだけた。覗くレッドの肌が白くて、目が眩みそうだ。確信に満ちたように笑う口端に、わざとぎりぎり核心を避けてキスをする。ヤケクソで、晒された首元に甘えるみたいにしてすり寄った。
あぁ、失敗ってもやもやする。けれどなぜか満たされてる。まぁこういう不調な人生も、ありかもね。なんて、思ったり。




繋ぎ止めていてね





110218
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