グリーンはヤリチンだ。女の子とセックスするのが大好きなチャラい野郎だ。曲がりなりにも俺と恋人同士であるのに、女の子とセックスするのが好きで好きで堪らない。ポケモンバトルと同じくらい、俺と同じ、以下、それ以上?とにかく好きらしいのだ。「レッドが一番好きだ愛してる」なんて囁く口で、女の子にキスをする。口の中にベロまで入れても飽き足らず、おっぱいに腰に脚に性器にまでキスをする。女の子が悦ぶポイントも知っていて、テクニックはパーフェクト。息子さんのほうもこれまたテクニシャンで、純情っぽいかわいい女の子もご近所の優しいお姉さんも官能的なラインのセクシーな大人の女性も、太くて大きなグリーンの性器を味わったらぶっ飛ぶほど気持ちよくてあんあん喘ぎ声が止まらないそうだ。トキワジムリーダーとして名を馳せる彼は、夜は無敗の挑戦者ってわけ。女の子の羞恥心というジムを難なく撃破して快感ゲットとか面白くて面白すぎて、あぁ、眉間の皺が深くなるばかりだ。――何で俺がそんなことを知っているのか?言うまでもない。噂話に疎い俺でも自然と耳にしてしまうほどに、グリーンが節操なしだというだけだ。
 どこの女がしゃぶって性器にくわえこんで揺さぶられたかも分からないブツを、グリーンは「フェラしてくれよ」なんて俺に押し付ける。つい昨日にも女の子が唾液をたっぷりと施してやったかもしれない性器を、俺は俺の孔に挿れられるために舐めなければならないのだ。嬉しいわけがない。幸せなわけもない。
 でもグリーンは知らないだろうけれど、実は俺の方も人のこと言えないような性環境なのだ。
レッドは誰にも渡さないからなんて意味の分からないことを言って俺の童貞をキープしようとするグリーンだけれど、まさか自分が犯す前に俺の処女が奪われていたなんて知る由もないだろう。
一度きりだけれど、俺はシロガネ山で強姦されたことが――あった。洞窟で休んでいたところを背後から襲われたのだ。山男らしき男は俺の腕を縛り上げると、何も言わずに首筋を舐め回して――それきり、その後のことはよく覚えていない。覚えていないけれど、犯されてしまったことは確かに事実だった。意識が戻ったとき、俺は裸にされた下半身を重点的にして――酷く嫌な臭いのする白濁にまみれていたのだから。体感したことのない重い痛みが数日の間続いていたのは今でも覚えている。
つまりグリーンがつっこむ俺の孔は、排泄器官であることに加えて既に別の男によって広げられていたのだ。残念だったねグリーン。君が慣らして広げてるこの孔は、実は下劣な他人が先に入った後なんだ。ならば童貞卒に処女卒、まぁ頻度に差があるが引き分けとしても仕方ないないかなと思う。

「レッド愛してる」

 だから仕方なく、俺はグリーンの性器に舌を這わせて煽ってやった後、孔に迎える示しを照らしてやる。
男同士のセックスは辛い。何がって、精神的にも肉体的にも。受け身側の俺だけれど、どんなに女の子の真似事をしても完全に男の身体で男の精神を育ててきたのだから。
グリーンはゴムを使う気配も見せずに、俺の唾液とローションでぬめるブツを孔の前で焦らすようにさらけだす。俺は見知らぬ男に暴かれてしまった孔に、見知らぬ女の体液が染み込んだ性器を挿れてもらう。普通に考えて、よろしくない。常識的に言えば、男に強姦された後にまた男に抱かれたいなんて思わないはずだ。俺だって本当は嫌だ。未だに意識を手放す前の、見知らぬ男の荒い息とか臭い唾液とか、下半身にごりごりと押し当てられた気持ちの悪い感触や、犯された後のガタガタと震えてしまうような経験をしっかりと思い出してしまう。でもグリーンとのセックスを断れないし、やめらるない。なぜ。そんなの、言わなくたって分かるだろう。
 挿入される前、俺は小さく息を呑む。そして緊張を悟られないように、口を開くのだ。

「………俺も、愛してる」





101116
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -